作家志望の不定期ブログです。
無色の翼、鳥は何処に向かうのか?
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大きな樹の下で 第十二話「豆柴応援週間」
2012-06-17-Sun  CATEGORY: 小説:大きな樹の下で
最後の更新日、確認したくないww
それくらい日が……、というか年が空きましたねw
基本プロットなし、突発ネタで書いてるので、
というか、恋愛物がそれほど得意では……。

すみません!!!
全部言い訳です!!!

・第一話「はじまりのはじまり」
・第二話「大きな樹」
・第三話「ワンコの気持ち」
・第四話「タマヒメ」
・第五話「一年八組の愉快な仲間達」
・第六話「君の旋律を聞きたい」
・第七話「はじめてのライバル」
・第八話「着ぐるみ理論」
・第九話「オムライス」
・第十話「夢幻」
・第十一話「初恋の人」



大きな樹の下で
第十二話「豆柴応援週間」



「タマ、今日から豆柴応援週間だから」

今朝、登校中に突然何の脈絡もなく、そんなことを言われた私は首を傾げることしか出来なかった。

胡桃ちゃんの言うことは、基本的に意味がわからない場合が多い。本当は理路整然とわかりやすく説明することは出来るのだろうが、胡桃ちゃんは敢えて煙に巻くようなことを言って人を困らせるのが大好きなのだ。人を困らせるのが好きといっても、本気で迷惑を掛けることは絶対にしない(作者注:あくまで珠樹の主観です。事実と異なる場合もあります。むしろ、異なります)。


「……何のこと?」
「豆柴といえば、小豆のことでしょ?」
「それはわかるけど、応援週間って何をするの?」

小豆ちゃんを応援するというなら、私も手伝いたいと思う。彼女は高校で初めて出来た女の子の友達なので、可能な限り力になりたかった。

「もちろん恋の応援よ!」
「恋……? 小豆ちゃんって好きな人がいるの?」

「…………気付いてないの?」
「うん」

そうなんだ、小豆ちゃんには好きな人がいたんだ……。
う~ん……、一体誰なんだろう……?

「私も応援した方がいいのかな?」

「小豆の好きな人に気付いてないようなら、下手に応援しても邪魔なだけよ。ある意味、貴方が最大のライバルだし」
「えっ? どういうこと?」

「わからないなら、いいわ。大丈夫、心配しなくてもいいわよ、タマ。小豆は私がちゃんと弄くり回……じゃなかった、サポートするから」

「そうなんだ。頑張ってね、胡桃ちゃん」

やっぱり、胡桃ちゃんは優しい。いつも面倒見が良くて、私のことも何度も助けてくれた。きっと、小豆ちゃんのこともバッチリ助けてあげるのだろう。
ウキウキと楽しそうな胡桃ちゃんに釣られて、私も何だか楽しい気分になってきた。










「……はぁぁ~、酷い目に遭った」

と、大樹君はとても疲れた様子で溜め息を吐いた。
昼休み、私と大樹君は第二音楽室にいた。いつもは教室で小豆ちゃん達と一緒にお昼ご飯を食べるのだが、今日は何故か二人きりだった。

「どうしたの、大樹君? 昼休みになったと同時に、いきなり急いで走り出して……」

事の経緯は今言ったとおり。
四時限目が終わると、大樹君はいきなり教室を飛び出してしまったのだ。慌てて大樹君を追ったら、ここに辿り着いたという訳だ。

「いや、あそこにいると危険だったから」
「危険?」

「うん。何だか小豆に命を狙われているみたいで……」

「……え、えっと、ちょっと意味がわからないんだけど……?」

少し信じ難い話だったが、大樹君があまりに深刻そうな顔をして言うので、私としては首を傾げるしかなかった。

「いや、意味がわからないのは僕も同じだよ。特に怒らせた記憶もないんだけど、今日は小豆からやたら凶悪な攻撃を受け続けてて……、このままだと命が危ないと思って、ここに避難したんだよ」

「そ、そうなんだ……」

小豆ちゃんはちょっと怒りっぽくて乱暴なところがあるが、大樹君のことが大好きなはずだし、本気で大樹君を攻撃することなんてないはずだ(作者注:あくまで珠樹の主観です。小豆はキレると殺す気満々で大樹を攻撃します)。

「まぁ、小豆が凶暴なのは今に始まったことじゃないし、しばらく嵐を去るのを待つよ」

「……それでいいの、大樹君?」

「いいも何も、それ以外に対処のしようがないよ。小豆は妙にテンパっていて、こっちの話を聞く気がないみたいだし」

「話を聞いてもらえないんじゃ、仕方ないか……」
「あぁ、仕方ないよ……」

私達は揃って溜め息を吐いた。
喧嘩ならば、ちゃんと仲直りした方がいいが、話自体を聞いてもらえなければ、仲直りのしようがない。小豆ちゃんが話を聞いてくれないのなら、今は彼女が話を聞いてくれる状態になるまで待つしかない。

「とりあえず、昼休みの間は見つからないようにしないと」
「じゃあ、ピアノは弾かない方がいいかな?」

大樹君に聞いてもらえないと思うと、何だか少し寂しかった。
人前ではまともに弾けないくせに、いざ弾けないとなると気落ちしてしまう。どんなに稚拙でも、大樹君には私の音を聞いていてほしかった。
あんなガチガチでダメダメな演奏だけど、それでも大樹君にだけは聞いてほしい。私の音を、私の演奏を、私の想いを、全部全部知ってほしかった。

駄目かな、大樹君……?
やっぱり、駄目だよね……。
あんな演奏じゃ絶対に駄目だよ……。
あぁ、うぅ~……、練習したい。凄く凄く練習したい。
駄目だと思うと、余計にしたくなっちゃう。

「そうだね。悪いけど、今日は静かにしていてくれると助かるな。ピアノの音がしなければ、小豆も他の場所を優先して探すと思うし」

「だ、だよね~……」

うぅ……、でも、ピアノ弾きたいよ……。
ピアノピアノピアノ~……。

あっ……。

「じゃ、じゃあ……、これ……、聞いてほしんだけど……」

私は制服のポケットに入れてあったipodを取り出し、イヤホンを大樹君に差し出した。

「うん。いいけど、何の曲?」

「リストの練習曲……。わ……、私の……、演奏……を、その……、録音したもの……。生の演奏とはやっぱり違うんだけど……、一度ちゃんとした演奏を大樹君に聴いてほしくて……」

「そっか。楽しみだな」

大樹君は朗らかな笑みを浮かべ、私からイヤホンを受け取った。
そして、ごく当たり前のように片方だけのイヤホンを耳に入れ、もう片方を私に向けて差し出した。
大樹君に私の演奏を聞いてもらうだけのつもりだったので、片方のイヤホンを差し出されて一瞬呆けてしまった。

ど、どうしよう……。
こういうことは想像してなかったよ……。

完全に予想外の事態に少しだけ動揺してしまった。きっと今の私は恥ずかしいくらいに真っ赤な顔をしているだろう。そんな顔を見られたくなかったので、私は俯きながら片方のイヤホンを耳に装着して、大樹君の隣に立った。

私のイヤホンはあまり長くないので、こうして二人でイヤホンを使おうとすると、どうしても密着する形になってしまう。それに、背の高い大樹君との身長差もあって、寄り添う恋人みたいな体勢になってしまう。

私の肩が大樹君の身体に触れる。
大きくて逞しい大樹君の身体はほっとするような温かさだった。
側にいるだけで安心できる温もり。その名のとおり、大きな樹のような人だった。

「じゃ、じゃあ、始めるよ」
「うん。いつでもどうぞ」

私はドキドキする想いに後押しされながら、ipodを操作して録音した演奏を流した。

イヤホンから旋律が流れる。だけど、ドキドキと激しく脈打つ心臓の音がうるさ過ぎて、私の耳には何も聞こえない。私はただ演奏を聴く振りをしながら、そっと横目で大樹君を見つめていた。

大樹君は何も言わず、ipodから流れる電子の演奏に耳を傾けていた。
……正直、何も言われないのは不安だった。

誰もいない場所で、自分一人での演奏なら、それなりに自信がある。あがり症で人前ではろくに弾けないピアノだけど、一人でなら自在に演奏できる自信があった。

でも、それもただの思い込みだったら、どうしよう……。
本当は自分一人の時も全然ダメダメで……、本当は下手くそな私が思い描いた幻想だったら、私はどうすればいいんだろう。

一人なら上手く弾ける。
あがり症の私にとって、それだけが唯一の心の支えだった。
だから、それさえも失うのが怖くて、私はこれまで自分の演奏の録音を誰かに聞かせなかった。

だけど、大樹君には私の全てを知ってほしかった。
たとえ私の本当の演奏が駄目なものだったとしても……。

「…………」

一楽章を終えて一度演奏をストップしても、大樹君はしばらく何も言ってくれなかった。

ど、どうして何も言ってくれないんだろう……。
私の演奏が酷過ぎてどうコメントしていいのか迷っているのかも……。
やっぱり、私には才能、ないのかな……。

「す、凄い……。凄かったよ、珠樹……!!」
「えっ……?」

「珠樹の演奏、凄かったよ! ピアノって弾く人によって、こんな違うものだったんだね! とにかく凄かった! なんか、もっと他にもいろいろ言いたいんだけど、ボキャブラリーがなくて……。とにかく本当に凄かったよ、珠樹! 感動した!」

「えっ? えっ? えっ?」

興奮した大樹君が私の手を取って、何かを言っている。
だけど、その言葉がどこか現実離れしていて、すぐに意味が頭に伝わってこなかった。

凄いって、何が……?
……え、えっと、私の演奏が……?
か、感動したって、それって本当に私の演奏で……?

「胡桃の言葉の意味がようやくわかったよ! こんなにも凄い演奏を誰にも評価されないなんて絶対におかしい! もっと、みんなにも聴いてもらうべきだよ、珠樹の演奏は!」

「そ、そんなことないよ……。私の演奏なんて……、本当に……、全然ダメで……」

「そんなことないよ、珠樹。僕は珠樹の演奏で感動した。本気の珠樹がどれだけ凄いのか、本当によくわかった。一発で君のファンになっちゃったよ。きっと、胡桃もそうなんだよ。君の演奏が本当に好きなんだ。だから、お願いだから自分でダメだなんて言わないで。君のファンとして、そんなこと言われるのは許せない」

大樹君……。
この人はいつも私に勇気をくれる。
いつだって優しくて、全てを包み込む大きな樹のような人。

私が初めて好きになった男の人……。

この人に出会えて本当によかった。私は今、心の底からそう思うことが出来る。この人の優しさと温もりがあるから、私は頑張ろうって思えるんだ。

「あ、ありがとう、大樹君……。そんなふうに言ってくれて……」

私がお礼を言うと、大樹君は頬を少しだけ赤くして困ったように微笑んだ。その笑顔が可愛くて、もっと近くで見たいと思って、私は少しだけ背伸びをする。

だけど、大樹君はとても大きくて少し爪先立ちをしただけでは届かない。どうすれば、もっと近くに行けるのだろう。

私は……。
私はもっと……。



「大樹、見つけたァァァッ!! ……って、何やってんだ、あんたらはァァァァァァァァァッ!!!」


「「……あ、小豆(ちゃん)ッ!?」」



突然第二音楽室の扉が開いたと思ったら、何故か小豆ちゃんが激怒していた。一体何をそんなに怒っているのだろう。

小豆ちゃんはズカズカと凄い足音を立てながら、私達のところまで歩いてきた。彼女自慢のポニーテールがまるで気の立っているワンコの尻尾のように揺れる。

隣の大樹君を見てみると、可哀想なくらいに脅えていた。幼馴染の本能が危険を察知しているのだろう。おそらく今の小豆ちゃんは相当なご立腹のようだった。

「え、えっと、小豆……、何をそんなに怒ってるんだい……?」

「…………わからない?」
「うん、まったく」

大樹君の回答を聞くなり、小豆ちゃんはこめかみを押さえて深々と溜め息を吐いた。

「よし……。じゃあ、死ね!!」
「ちょ……、ままま……、待って! 珠樹を巻き込むから、まだ殴ってきたら駄目だ!」

「この期に及んでまで、まだ珠樹かァァァッ!!」

小豆ちゃん、大爆発。
とにかく凄い怒りっぷりで大樹君はボコボコされてしまった。
怒っていた理由については、後で小豆ちゃんに聞いても教えてくれなかった。しかも、胡桃ちゃんには何故か、貴方達って本当に似た者同士ね、と笑われてしまった。

一体、小豆ちゃんは何を怒っていたのだろう???



To be continued...




あとがき

タイトル的に豆柴のターンと見せかけて、
実はタマのターンでしたww

やはりというか、
なんていうか、この子は実にこっぱずかしいwww
豆柴のターンはいつになったら来るんでしょうかねwww
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