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無色の翼、鳥は何処に向かうのか?
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ポンコツ警部と欠けたダイイング・メッセージ(中編)
2010-05-23-Sun  CATEGORY: 欠けたDM
何とか1000HIT前に更新できました~。
でも、後編はもう間に合わないでしょうねぇ……。

前編と中編を合わせれば、
誰が犯人か推理できると思います。
謎解きレベルとしては簡単ですので、
後編が出る前に犯人当てに挑戦してみてください。



ポンコツ警部と
欠けたダイイング・メッセージ(中編)


一月十九日に発覚した事件の捜査状況をまとめておこう。
被害者は香川宗司。一月十日の十四時二十分以降から十五時の間に殺害され、都内の山林に遺棄された。地道な足取り捜査を続けているが、目撃者は未だ見つかっていなかった。

遺体が発見された山林は、殺害現場である香川の自宅から車で一時間の距離だった。山歩きをするような場所ではなく、たまに山菜採りに来る人がいる程度で、ほとんど人が立ち入るような山ではなかった。

山林の周囲には民家も少なく、殺害から九日で遺体が発見されたことが不思議なくらいだった。今も死体を遺棄にした犯人の目撃者を探しているが、おそらく目撃者が現れるのは絶望的だろう。

また、十三日から十四日にかけて降った大雨によって死体発見現場にあった可能性がある手掛かりはほとんど失われていた。
これ以上、死体発見現場から何かが見つかる可能性は低いと思われる。

もし、手掛かりが残っているとしたら、殺害現場である香川の自宅の方だろう。

ポンコツもとい市井警部もそう考えているようで、現在俺を連れて香川の自宅を捜索していた。
香川の自宅マンションの間取りは、一般的な1LDKだ。
つまり、部屋はLDKと洋室と風呂とトイレの四つ。殺害現場となっているのは洋室で、血痕が出ていたのはやはり洋室だけだった。香川があまり掃除しないようで、部屋は私物が散らかり放題だった。

殺害現場である洋室にはダイイング・メッセージ「??? 110 119」が残されていた。しかし、このメッセージは何かの衝撃によって散乱していた香川の私物がベッド下に潜り込み、メッセージの一部が消してしまっていた。

あれから何度も捜査しているが、ベッド下のダイイング・メッセージ以外は特に不審な血痕はなかった。

リビングも埃が溜まっており、ゴミ同然の物もたくさん転がっていた。男の一人暮らしとはいえ、大分汚い部類に入るだろう。洋室もそうなのだが、ほとんど足の踏み場がないくらいだった。
そして、これだけ散らかっているくせに犯人に繋がる証拠がないのだから腹立たしかった。

見つけられたのは、何に使うか理解できない付け髭セットだった。しかも、中を見たら、付け髭が幾つもなくなっていたし。

あとは風呂場とトイレだが、こちらは多少マシだった。一般的な視点から言うと充分汚い部類だが、あの洋室やリビングを見た後だとマシに感じる。

風呂場のタイルにカビが生えていて衛生的には見えないが、それさえ目を瞑れば普通に使えるレベルだ。トイレの蓋は閉まっていて中は見えなかったが、おそらく我慢すれば一応使える程度の汚れだろう。

一通り室内を見回ったのだが、特に手掛かりらしい物は見つからなかった。簡単に手掛かりが見つかるとは思っていなかったが、空振りだと気が重くなる。

さて、頼りの市井警部はどうしているかねぇ?

「……10BASE-T、……100BASE-FX? この辺りの規格は違いますね。他には……、MACアドレスのコードも違いますね。……Ethernet、トークンリング、FDDI……? ……VLANの範囲は……、あ~、でも、これに特別な意味は……。フレームやパケット特定のビットについてだったら調べるのは難しいですね……。う~ん、やっぱりTCPの方でしょうか? ウェルノウンポートだと……、POP3……、NNTP……?」

謎の単語をぶつぶつ呟いているが、何一つ理解できなかった。
市井警部が手に持っているのは、香川の本棚にあったネットワーク技術の参考書だった。あの本の中に……、というよりネットワーク技術の中にダイイング・メッセージの謎を紐解くヒントがあるかもしれない、というのが市井警部の考えだった。

俺も最初は本棚の中で一番薄い本を読んだが、五秒で放り投げた。あれは異国の言葉だ。俺には何一つ理解できなかった。

大体、ダイイング・メッセージを解けたとしても証拠能力は低い。ミステリーの世界ならともかく現実では、ダイイング・メッセージを証拠にすることは出来ない。ただ、犯人に繋がるヒントであることは間違いない。

だが、犯人を逮捕するためには物証が必要だ。という訳で俺はこのゴミの山みたいな香川の部屋から証拠を探し回っていたのだ。見つけられたのは、意味不明な付け髭セットだけだったが……。

「どうだ? 何かわかったか?」

「確証はありませんが、やはりダイイング・メッセージはネットワーク用語と関係している可能性が高そうだってことはわかりましたよ。証拠にはなりませんが、犯人を口説き落とすネタになりそうです。
 それで、五秒で本を投げ捨てた先輩は何か物証を見つけられましたか? どうせ何も手掛かりなんて何も掴んでないですよね? ノンキャリアなんて基本役立たず……」

「真面目な刑事モードだからって俺が手を上げないと思うなよ!」

「割れる割れる割れるッ!! リアルに痛いアイアンクローは止めてください!! にぎゃああああああッ!!」

ノンキャリアの怒りを思い知れ、キャリア組。俺達だって地道な足取り捜査で頑張っているんだぞ。
今まで我慢していた分の怒りをぶつけ終え、少しだけ胸がスッとした。

「先輩は上司に対する態度がなっていません!」

「うっさいわ。それより、今は捜査優先だ」
「ぶぅぶぅ~!」

市井警部は子供みたいに頬を膨らませるが、すぐに真面目な表情に戻った。

基本的に捜査中であれば、このポンコツも正常に動く。そして、一度まともに動けば市井警部は絶対に犯人を検挙する。彼女の能力と正義感だけは信頼に値する。

「それより、先輩は何か見つけましたか?」
「何に使うわからない付け髭セットを」

「……香川は一体それを何に使っていたんでしょうね?」

「弟に変装して悪さでもしていたんじゃねぇか?」

被害者である香川には、双子の弟浩司がいた。この兄弟は一卵性双生児なので外見はほぼ同じだったが、兄には髭がなく、弟には髭があった。この髭の有無によって二人を見分けることが出来た。

まぁ、兄が死んでしまった以上、髭の有無で区別する必要はなくなってしまったのだが。

「なるほど。香川は先輩みたいに性格がねじ曲がっていたそうですし、そういう可能性も……」

「一言余計なんだよ、お前は!」

「まぁまぁ、でも、野性的に手掛かりを持ってくる先輩の勘にはいつも助けられてますよ」

「それは褒めているつもりなのか?」

「もちろんですよ。先輩の意味不明の勘は私にはないものですからね」

ちっとも褒められている気はしないのだが、市井警部の顔には邪気がないので一応素直に受け取っておこう。いちいち癇に障る言い方をするのは無意識なのだろう。


「う~ん、犯人はわかったのに物証がないですね~」
「ちょっと待て!? 今、ホシはわかったって言ったか!?」

「えぇ、まぁ。でも、物証がないんですよね」


香川に対して殺害動機を持つ容疑者は三人。

元部下のネットワークエンジニア、三條順平。
十五時に名古屋にいることが確認されている。十五時までに名古屋に着くためには、最低でも十三時十分に出発する新幹線に乗る必要があった。四十分で東京から名古屋に行く方法はないので、論理的に香川殺害は不可能だった。

元恋人のニュースキャスター、青島香織。
香川が最後に確認された十四時二十分に、生放送のニュースに出演していた。テレビ局は香川の自宅から二十分で行ける距離だが、生存確認されている時間内のアリバイは不動。物理的に香川殺害は不可能だった。

友人の会社員、横山一郎。
営業時間内は会社にいたことが確認されている。横山の会社から香山の自宅までは近く、四十分程度で行けるのだが、死亡推定時刻である十三時半から十五時半の間はほとんど席を立っていなかったそうだ。容疑者の中ではもっとも完璧なアリバイがあり、実質的に香川殺害は不可能だった。

それと、市井警部は被害者の弟、香川浩司に対しても疑いを持っていた。彼には動機はないが、アリバイもない。殺人自体は可能だろうが、それだけで引っ張ることは出来ない。

ちなみに、この香川の弟、浩司は以上三人と全員に面識があった。
殺害された香川はあまり褒められた人格ではなかったので、弟浩司に相談することが多かったそうだ。香川が殺害された数日前にも全員と会っていたことが確認されていた。

相談を聞いているうちに感情移入し、共犯関係になったという可能性は確かに否定できない。だが、一体誰に協力して、何をしたのかということはわからない。

現状、三人の容疑者には犯行は不可能だ。仮に浩司の協力が得られたとしても、三人のアリバイは崩しようがなかった。

「誰がホシなんだよ?」
「刑事なら、もっと自分の頭で考えたらどうですか? ぷっぷ~!」

正論なのだが、人を小馬鹿にしたような顔が気に入らない。

「まぁ、物証がないので私も適当なことは言えないんですよね。状況証拠と共犯者の自供で追いつめましょう」

「共犯者って……、やっぱり香川浩司か?」

「えぇ、もちろんです。おそらく彼は直接的に香川を殺した犯人ではありませんが、犯人のアリバイ工作に一役買っています。犯人に自供しようと説得しているうちに殺されるなんて展開になる前に急いで捕まえましょう」

市井警部の推理どおりなら、確かに浩司を確保しておいた方がいい。
すでに人を殺してしまった人間と、アリバイ工作にしか加担していない人間。その二人の意見が食い違うことは当たり前だ。市井警部が言ったように、犯人に殺される可能性は大いにある。

一度人を殺してしまったのなら、もう二度と人の道には戻れない。一人を殺してしまったのなら、二人目を殺すことを躊躇わないだろう。
これ以上被害が広がるようなことは絶対にあってはいけない。

俺達は香川の自宅マンションから出ると、急いで車に乗り込んで浩司の自宅へ向かった。










浩司の自宅はここから車で約二十分ほどだ。しかし、都心の混み合った道では自転車で行った方が早く到着するかもしれない。気が逸っているのに、道の進みが遅くて苛立ちが募っていく。

俺は煙草を燻らせながら(ポンコツが文句を言っていたが、当然無視)、苛立たしげにハンドルを指で叩いていた。

だが、そんなことをしても気が紛れる訳でもないので、俺は先程から疑問に思っていたことを市井警部に訪ねた。


「お前、もう全ての謎を解いているのか?」

「解いた……というより、初めから目星がついてましたね。条件を一つ崩せば、犯行が出来るのは一人しかいませんし」


条件を一つ崩せば……?
……あぁ、なるほど。そういうことか。
浩司の協力さえあれば、あの条件を誤魔化すことが出来るかもしれない。そして、その条件によって犯人は完璧なアリバイを手に入れることが出来た。


「犯人がわかってたなら最初に言えよ」

「確証もないのに言えませんよ。それに、最初はまだ可能性の段階でしたし。……あぁ、でも、やっぱり犯人が確定できた段階で決め台詞とか言った方がよかったですね。……ばっちゃんの名に賭けて、真実は一つです! ……とか? あははは、駄目ですねー! 何言っているのか自分でも意味不明ですよ!」

「黙ってろよ、ポンコツ……」


運転中なので殴れないのが悔やまれる。
向こうも俺が手を出せないとわかっているので、俺の神経を逆撫でするような馬鹿発言を続けようとした。

しかし、その時ちょうど市井警部の携帯電話が鳴り出した。
ちなみに着メロはBUMPのカルマだった。このポンコツはBUMPのファンらしい。以前ライブの日に事件が起きて、非番だったのに呼び出されてマジ泣きしていた。

「はい、何でしょう?」

市井警部は真面目な顔に戻って電話に出た。

「……はい。……はい」

声色から面白い話題ではないのは察せられた。確証はないが、おそらく他の刑事からの連絡だろう。

だが、このタイミングで電話とは何か嫌な予感がする。

先程ポンコツが馬鹿にしつつ褒めていたが、俺の勘はかなり高い頻度で当たる。理屈も論理もないが、俺はこの勘を信じていた。俺の勘が警鐘を鳴らしている時は絶対に悪いことが起こる。

予想どおり、市井警部は不快そうに顔をしかめた。相当に嫌な話を聞いたのだろう。


「……香川浩司が殺されました」


市井警部が珍しく怒りを露わにして車の窓を叩いた。
俺達がもう少し早く浩司を捕まえていれば、こんなことにはならなかったはずだ。捜査の遅れによって一人の命が奪われてしまったことに対して、俺も怒りと歯痒さに苛まれた。


「くそッ!! 一歩遅かったかッ!? おい、市井警部!! 現場はどこだ!? 俺達も……」

「いいえ、私達が行くべき場所はそこじゃありません!!」

「あァ!? じゃあ、どこに行くって言うんだ!?」

「もう犯人はわかっているんですよ!! だったら、証拠を消される前に犯人を捕まえるんです!!」


浩司を殺したのは、香川殺しの犯人と考えてまず間違いない。香川殺しでは物証を得られなかったが、浩司を殺した直後の今なら、浩司殺しの証拠を押さえられるかもしれない。

確かに市井警部の意見は一理ある。
だが、もし俺達の推理が外れていたら……。

……いや、そんなはずがない。物証こそないが、俺の勘は奴がホシだと言っている。なら、その勘に従うまでだ。


「急ぎましょう、先輩!! 事件を終わらせるために!!」










あとがき

推理物もどきって感じですね。
あまり上手くできた気がしないです。
でも、とりあえず体裁は整ったでしょうか?

次は解決編です。
ポンコツ警部達は直接犯人の元へ乗り込むので、
特に新しい謎は出ない……はずです。

さて、皆様は犯人が誰かわかったでしょうか?
わからなかった人のためにヒントを出しておきました。

▼ヒント(見たい人はドラッグしてください)
死亡推定時刻を確認してみてください。

▼超ヒント(見たい人はドラッグしてください)
消えたダイイング・メッセージは数字ではありません。
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コメント

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No title
コメント | URL | 2010-05-23-Sun 21:47 [編集]
こんばんわw夢です。

ふぅ…全く分からないですね☆

なんか、負けた気がするので
ヒントも見ませんが…っ!!

全く分からないので解決編に期待です^^b
執筆頑張って下さいませ。

Re: No title
コメント遠野秀一 | URL | 2010-05-23-Sun 22:00 [編集]
夢さん、コメントありがとうございます。

まぁ、あまりに簡単にわかったと言われると
逆にコッチが凹んでしまうので、少しだけホッとしました。
解決編は少し間を置いてから更新しますので、
それまで待って頂けると嬉しいです。
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