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ポンコツ警部と欠けたダイイング・メッセージ(前編)
2010-05-04-Tue  CATEGORY: 欠けたDM
小説4連続の第2弾です。
今回は、リクエスト小説です。

春さんから「110」と飯野君の「119」ってリクを
合わせてしまいました。……良かったですかね?

でも、合わせた分、長くしてみました。

そして、珍しく刑事物。
ちょっと前に刑事物を書くの大変ねーとか
言っていた自分が、まさか刑事物を書くなんて
思ってもみなかったですw



ポンコツ警部と
欠けたダイイング・メッセージ(前編)


「110と119って何だ?」

「あははは♪ 何言ってるんですか、先輩? 110と119と言えば、警察と消防に連絡するための……ぐはぁッ!!」

ポンコツは殴るに限る。
昔、実家に遭ったテレビは斜め三十七度の角度から卵割る時と同じくらいの勢いで殴りつければ、ほぼ百パーセントの確率で直せた。何故、百パーセントと言い切らないかというと、数年前に完全に壊れて地デジ対応に買い替えたからだ。

まぁ、俺の隣にいるポンコツは殴っても治らないんだが、とりあえず五月蠅い口を黙らせられる。今はそれで充分だが、いずれ抜本的な修復が必要だろう。
そのためには、頭の中身を交換する必要あるな。監察医に頼んで、このポンコツの頭蓋を開いてもらおうか。

「今何か凄く不穏当なことを考えてませんか!? っていうか、乙女の頭を壊れたテレビみたいに殴らないでください!!」

「馬鹿野郎! お前の頭をテレビと一緒にすんな!! おこがましいぞ、ポンコツ!!」

テレビは直る分だけ、ポンコツより百倍上等だ。あと、五月蠅かったら、手動で音声を抑えられるし。

「……お、おこがましい!? 私、テレビ以下ですか!? 無機物よりも下!? あんなの、映像と音声を垂れ流すしか出来ないじゃないですか!? 私の方がもっと優秀です!! 東大一発合格、国家公務員I種試験も一発で通ったキャリア組の私が、テレビより下のはずないじゃないですか!! 扱いが酷過ぎです!! 不当な扱いには断固抗議です!! 私年下ですけど、一応は上司ですよ!! 警察組織は上下関係をしっかりするべきです!! だから、先輩はもっと私を崇め奉って懇切丁寧な対応をするべきです!! あと、乙女補正も追加して、三食奢ってください!!」

「五月蠅いんだよ、てめぇはァァァァァァッ!!」

鉄拳制裁。
どうして女ってのは、こう口が減らないのだろうか。

「騒ぐんじゃねぇ!! お前はここがどこだかわかってんのッ!?」
「当たり前です!!」

ポンコツは関東平野もビックリな胸元を叩き、無駄に偉そうに言い放った。

「ここは殺人現場です!!」










一月十九日、都内山林に山菜採りに来ていた老人が二十代男性の遺体を発見。老人は直ちに警察に通報をし、事件は発覚した。

鑑識の結果、後頭部に打撲痕が見受けられたため、自殺ではなく殺人と断定。遺留品などから遺体は、東京都台東区在住のネットワークエンジニア、香川宗司と判明。香川は一月十日に会社を早退し、翌日から無断欠勤していた。死体の状態から、香川が早退した当日の一月十日から翌日の十一日の間に殺害されたと断定された。

殺人現場は、香川の自宅マンションの一室だった。室内は後頭部を殴られた時に出来たと思われる血痕があり、この場所が殺人現場であった断定できた。
更に、ベッド下に被害者が残したダイイング・メッセージが残されていた。

ダイイング・メッセージは、香川の血液で『110 119』と記されていた。

いや、正確には『110 119』の前にも何かが書かれていたのだが、散乱していた香川の私物が何かの拍子でベッド下に入り込み、その文字を消してしまった。消えた文字は不明だが、その後に書かれた「110 119」と比較し、三文字程度あったと推測できた。

つまり、残された『??? 110 119』こそが、死の間際に香川が残したメッセージだった。

「で、この数字なんだが……」

そして、ようやく話が冒頭に繋がる。
俺がこの数字は一体何なのかとぼやいたところに、ポンコツが茶々を入れてきたのだ。


「わかったぁ~! わかりましたよ!
 110とは犯人を示してます! イチ、イチ、ゼロを語呂合わせすれば、おのずと答えがわかります! つまり、猪井零二さん、犯人は貴方ですッ!!」


ポンコツが指差したのは、この俺だった。
猪井零二、それは俺の名だ。イチ、イチ、ゼロと語呂合わせ出来る名前だということは自分がよく知っている。そのせいでガキの頃に、110番というあだ名を付けられた。ガキの頃はそれが嫌で仕方なかったが、そんな俺が今は刑事などやっている。世の中、不思議なものだ。

さて、それは置いといて……だ。
……このポンコツは俺に喧嘩を売っているらしい。分際の違いを思い知らせてやろう。

「きゃあああ!! 止めてください!! イカ臭い右手で乙女の顔を鷲掴みなんて、ふにゅううううううッ!!!」

「誰がイカ臭いか!? あァ? 殺すぞ!?」

喧しい口が開けないよう押し潰してやる。このまま永久に喋れないようにしてやろうか。実に魅力的な考えだが、一応警察関係者としての一線は守って半殺しくらいで勘弁してやろう。

「この俺が犯人だとぉ~!? どんな冗談だ、コラ!? 大体、その語呂合わせで行ったら、119の市井玖子も犯人だよな、あァ!?」

「私は犯人じゃないですよ! 失礼ですね!」

目の前にいるポンコツ、もとい市井玖子は俺の手を振り払ないながら言った。

「ったく、最初に言ったのはてめぇだろう」
「ただの冗談じゃないですか。大目に見てくださいよ」

未だに信じられないのだが、このポンコツが俺の上司だ。
市井玖子警部。警視庁捜査一課の係長。世の中、理不尽だと言わざるを得ない。普段は今みたいなネジの飛んだ発言をしているポンコツだ。しかし、頭の出来が俺達とは違うらしく、いざ事件と向き合うとどんな難事件でも必ず解決させる天才。
まぁ、ムカつくから捜査一課全員でポンコツ扱いだ。イラッとした時は容赦なくチョップを食らわせる。


「まぁ、冗談はさておき……」


彼女はそう静かに呟くと、その瞳がすっと細くなった。
薄い色彩の瞳がゆっくりと深い闇色を含み始めた。実際に色が変わっている訳ではない。ただ、瞳に宿る意志の変化し、彼女自身が纏う雰囲気に新たな色彩を付けたのだ。

普段のポンコツから、どんな難事件も解決する優秀な刑事へとの変化。
この状態の市井警部に解けない謎はない。事件解決までは、この状態を維持してくれるだろう。
いつもこの調子でいてくれると突っ込みもなくて助かるんだが、この警部殿は何故かポンコツしている方が楽しいらしい。


「先輩。もし、貴方が被害者だとして、ダイイング・メッセージを残すとしたら何を書きますか?」

「犯人の名前がわかれば名前。わからなければ特徴とか……、とにかく犯人を示せそうな何かを残すだろうな」

「そうですね。ただ、犯人に見つかって消されるという可能性もあります。香川の場合、見つかりにくい場所に書いた上、バレても大丈夫なように暗号にまでしてくれました。まぁ、ダイイング・メッセージなんて見つかった時点で消されるに決まってますが、殺されかけて気が動転していたんでしょう。もしかしたら、あっちの趣味の影響かもしれませんね」


市井警部が指差したのは、香川の本棚だった。
本棚には名立たるミステリー作家の作品が並んでいたが、特にエラリー・クイーンの著書が目立っていた。
ダイイング・メッセージに固執したエラリーのファンとして、つまらないダイイング・メッセージは残せないと思ったのだろうか。

警察としてはいい迷惑だ。もっと簡潔に犯人の名前を示す物を残してほしかった。まぁ、殺された被害者に文句を言っても仕方ない。命の危機に瀕した人間が正常な判断を出来るはずがないのだ。ダイイング・メッセージがあるだけ僥倖と思うべきだろう。

「まぁ、ダイイング・メッセージが残されている以上、名前を知っている顔見知りの犯行の可能性が高いですね。人間関係を徹底的に洗ってみましょうか」

まぁ、それが刑事の基本だ。
このダイイング・メッセージの謎を解くにしても、まず情報が必要だった。地道に足取りで情報を集め、犯人を見つけ出す。
俺達はさっそく周辺の聞き込みに向かった。










香川宗司、二十八歳。某大企業のネットワークエンジニア。
家族構成、両親と弟。未婚。東京都台東区のマンションに一人暮らし。
両親は青森で林檎農家を営んでおり、弟浩司は郵便局員として同区にて勤務していた。香川宗司は両親とは疎遠であったが、弟である浩司とは月に数回の交流があった。

死亡推定時刻は、一月十日の十三時半から十五時半の間。しかし、十四時二十分に自宅で書留郵便を受け取っていることが、郵便局員に確認されていた。そのため、十四時二十分以降から十五時までの間に殺害されたと考えられる。

殺人動機を持つ者は三人。

元部下のネットワークエンジニア、三條順平。香川の事業失敗の責任を押し付けられ、退職させられていた。
十五時まではアリバイはないが、十五時に名古屋のファミレスで友人達と会っていることが確認されていた。十四時二十分以降に香川を殺し、十五時までに名古屋に到着することは不可能だった。

元恋人のニュースキャスター、青島香織。香川と八年間付き合い続けていたが、宗司は出世のために社長の娘と婚約してしまい、結果として捨てられた。
彼女は十四時からニュース番組に出演しており、番組終了後もスタッフと会議をしていたため十九時まで完全なアリバイがあった。それ以前のアリバイについては誰も確認されていないが、本人は局内にいたと証言。

友人の会社員、横山一郎。香川から多額の借金をしており、最近はその返済を巡ってトラブルを起こしていた。
彼は事件当日、九時から二十時まで都内の会社オフィスに入ることが確認されている。昼休みを除き、二十分以上席を外していないことも確認されており、完全なアリバイが証明されていた。

以上の三人は動機があるが、香川を殺すことは不可能だった。


「殺人の動機がありそうなのは、この三人だけですか? 弟の浩司とは何かトラブルがあったという話はありませんか?」

「特にそういう話は出てないな。兄弟仲は良好だったそうだ」
「そうですか。でも、一応アリバイは聞いているんですよね?」


当たり前だ。関係者から事情を聞いた時にアリバイも確認している。今のところ、浩司から動機は出ていないが、殺人事件とわかっている以上、アリバイを聞くのは当然だ。

「アリバイはなし。香川宗司の死亡推定時刻の間、浩司は配達のために外に出ていたそうだ。殺害は可能だが、彼には香川を殺す動機がない。香川は多くの人間に恨まれているし、わざわざ浩司を本ボシにすることもない気がするが?」

まぁ、浩司に関してはもう少し洗う予定ではある。アリバイがない以上、浩司に犯行は可能。それらしい動機があれば、すぐにでも任意で引っ張ってくるつもりだ。

「まぁ、そうですね。今わかっているだけで三人。しかも、まだまだ出てきそうな感じなんですよね?」

「あぁ、あちこちで恨みを買っているみたいだ。自分勝手で短気、しかもすぐに手を出す乱暴者だったそうだ。会社でも嫌われていて、死んでせいせいしたなんて言う奴もいたくらいだ」

「自分勝手で短気、しかもすぐに手を出す乱暴者なんて先輩みたいですね?」

「殴るぞ、てめぇ?」
「あははは、冗談ですよー。私、先輩のこと、大好きですから」

「なら、その手に持った灰皿は何だ?」

「えっ? 何言ってるんですか、先輩。現場付近で発見された凶器ですよ?」

知っている。指紋も出ていないし、香川の自宅に元々あった物だったらしい。浩司を始めとして、香川の自宅に訪れた者が、香川の所持品だったと証言していた。

「それを持って何故素振りをする?」

「先輩が後ろ向いた隙にこれまでの恨みを込めた一発くれてやろうなんて考えてませんよ? あははは、嫌ですね。変な勘繰りをしていると女性にもてませんよ」

「やかましい!!」

真面目な刑事モードでなければ、殴っているところだ。

「後頭部を殴られたという点から見ても、やっぱり顔見知りという犯行が濃厚ですね。人間関係を洗うのもいいですが、あまり手当たり次第に捜査するより、今挙がっている人物を徹底的に叩いてみてください。もしかしたら、何か面白い話が出てくるかもしれません」

「了解」
「……えぇ、お願いしますね」


市井警部は凶器の灰皿を机に置くと、厳しい視線でホワイトボードを睨んだ。

ホワイトボードに記されているとのは、動機を持つ三人の被疑者。
しかし、彼等には香川を殺すことを不可能だった。

それでも、市井警部はこの中の三人のうちの誰かがクロだと踏んでいる。いや、先程名前が挙がった弟浩司も含まれているはずだ。犯人は以上の四名の中にいる。

さて、一体誰が香川を殺したのだろうか……?










あとがき

刑事物を書いたのは……、
文芸部時代に一回あったかないかくらいですかね?
WEBでは当然初めてです。

うん。やっぱり、このジャンルは難しいです。
いろいろ調べるモノがあるし、何よりトリックとか無理w

ミステリとか書いてみたいとは思うんですが、
やっぱり難しいですねー。

それと、リクエストを下さった
春さんと飯野君には、もう大感謝です。
ありがとうございました。

期待に応えられたかわかりませんが、
精一杯頑張ってみました。
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コメント

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No title
コメント | URL | 2010-05-04-Tue 22:35 [編集]
繋げたのですね☆
頑張って下さいっwww
そしてトリックは難しいですよねぇ…

私には書けませんっ;
なのでミステリー好きですが全く解けません。
楽しく読めますw素敵です☆ミ

続きも楽しみにしていますね♪
頑張ってくださねー*^^*
Re: No title
コメント遠野秀一 | URL | 2010-05-04-Tue 22:44 [編集]
夢さん、コメントありがとうございます。

トリックは難しいですよね。
出来たと思ったら、穴があったーってばっかりw
ミステリー作家は本当に凄いと思います。

期待できるような結果になれるかわかりませんが頑張りますw
No title
コメント花舞小枝の春 | URL | 2010-05-05-Wed 02:13 [編集]
まさか「110」が名前に…!!笑
そして刑事もの。
む、難しそうです……><。

続き、めちゃくちゃ楽しみにしていますっ☆
こちらこそ、あんなリクにお応えくださって、ありがとうございますっ☆
Re: No title
コメント遠野秀一 | URL | 2010-05-05-Wed 15:08 [編集]
春さん、コメントありがとうございます。

期待してくれたところ申し訳ないですが、
自前のPCが死亡して、しばらく更新できません。
ごめんなさい(>_<)
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