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大きな樹の下で 第六話「君の旋律を聞きたい」
2010-05-03-Mon  CATEGORY: 小説:大きな樹の下で
……昨日、小説を更新した気になってたですよね。
それを含めて4連発のつもりでした……。

えぇ、言い間違いw
全てが終わった後でしか過ちに気付けないwww

ここまで考えて、このタイトルにした訳じゃないのに。
普通に間違えた自分が恥ずかしくて仕方ないです。
でも、言ったからには責任を持ちますよ。

今日から4連続です。
最初の1発は、久々更新の「大きな樹の下で」!!

・第一話「はじまりのはじまり」
・第二話「大きな樹」
・第三話「ワンコの気持ち」
・第四話「タマヒメ」
・第五話「一年八組の愉快な仲間達」



大きな樹の下で
第六話「君の旋律が聞きたい」


どうして、新入生代表がネコの着ぐるみを……?
しかも、頭に大きなタンコブがあるんだけど、怪我しているの?
何一つわからない……。一体、この高校で何が起こっているのだろうか……?

そういえば、あの新入生代表の名前、姫宮って言っていた気がするが、もしかして姫宮さんの家族なのだろうか。いや、でも、兄弟はいないって言ってたから、親戚かもしれない。

入学式の印象は、全てあの奇抜な新入生代表に持っていかれてしまい、他のことなんて何一つ覚えていなかった。それは多分、僕だけではなくて他の生徒達も一緒だろう。

とにかくインパクトの強い入学式だった。

入学式が終わって教室へ戻る途中、僕は姫宮さんに新入生代表のことを尋ねてみた。すると、予想した範疇の答えが返ってきた。


「……じゃあ、あの人ってやっぱり姫宮さんの親戚なんだ?」

「うん、胡桃ちゃんは私の従姉なの。直接会うのは、とっても久し振りだよ。伯父さんと一緒に世界各地を回っていたから、日本に戻ってきたのも三年振りくらいなんじゃないかな?」


ネコ着ぐるみの新入生代表は、やはり姫宮さんの親戚だったようだ。
いろいろと気になることはあるが、最初にどうしても聞かなければいけないことがあった。


「えっと、どうして従姉さんはネコの着ぐるみを……?」

「う~ん。私もよくは知らないんだけど、アメリカに行った時の影響らしいよ?」


アメリカはそこまで自由の国なのか。
行ったことはないけど、多分違う気がする。

「どこかの教会でチャリティーコンサートをした時にあの恰好をしたら、みんながとても喜んでくれたって言ってたな」

「チャリティーコンサート?」

「あっ、ごめん。言い忘れてたけど、胡桃ちゃんは海外でCDデビューしたピアニストなの。子供の頃から神童って言われてて音楽業界の期待の新人でね、私の憧れなんだぁ……」

従姉さんの話をする姫宮さんの瞳は眩しく輝いていた。
今の姫宮さんの表情を見れば、純粋に従姉さんを尊敬していることがわかる。本当に従姉さんを慕っているだな、と微笑ましく思えた。
ネコの着ぐるみで度肝を抜かれたが、美人で頭も良くて、海外でCDしているピアニスト。憧れるのはわかる気がする。でも、出来れば着ぐるみは真似しないでほしい。

「姫宮さんの憧れか……。あっ、もしかして姫宮さんもピアノをやってるの?」

初めて見た姫宮さんの綺麗な手を思い出し、好奇心で聞いてみた。

「う、うん……。でも、私は胡桃ちゃんと違って、コンクールの入賞も出来ないんだけどね……」

姫宮さんは恥ずかしそうに頷いた。
もしかしたら、あまり触れられたくなかった話だったのかもしれない。好奇心に駆られて余計なことを言ってしまった気がする。


「えっと、私って凄くあがり症で、人前でピアノ弾くのって全然駄目なの……。知らない人の前でピアノを弾こうとすると、頭が真っ白になって練習では出来ることが何一つ出来なくて……」

「そうなんだ……」


曇った表情で俯く姫宮さんを見ていると、結構深刻そうな悩みのようだった。確かに、今まで頑張った練習した結果がコンクールで出せないというのは辛いだろう。

「まぁ、僕も人前に出るのは苦手だな。これからクラスで自己紹介とかあるのかーと思うと気が重いよ」

「あっ、忘れてた……。うぅ……、クラスの前で自己紹介……。考えただけで泣きそうだよぉ……」

目に見えて落ち込む姫宮さん。
本当に人前に出るのが嫌なんだろうなぁ。その気持ちはわからないでもないけど。


「どうすれば緊張しないで済むのかなぁ?」

「う~ん。まぁ、一般的には手の平に人って字を書いて呑み込むとか、全員カボチャだと思うとか?」

「どっちもやったけど、効果なかったよぉ~……」


ですよね~。僕もやったことあるけど、何の効果もなかった。そもそも誰が言い出したんだろう、あんなこと。


「……じゃあさ、知らない人達に向けて自己紹介をするんじゃなくて、誰か知っている人に話すつもりで言えばいいんじゃないかな?」

「誰か知っている人?」

「そう。中学時代の友達とかいるでしょ? その人のことを見て、その人に話すみたいなつもりで自己紹介をするんだよ。それなら、多少は気が紛れるんじゃないかな?」


突発的に思い付いたことだったが、割といい意見な気がする。周りにたくさんの人がいても、知っている人に向かって話すつもりなら、それほど緊張することはないだろう。


「……でも、私、高校入学に合わせて転校してきたから、こっちに友達がいなくて……。知っている人は、胡桃ちゃんだけなの……」


そ、その可能性は全く考えていなかった。
僕の作戦、失敗だなぁ……。


「だから、あの……、宇藤君のことを見ながら話してもいいかな?」
「ぼ、僕のことを……?」

「う、うん……。宇藤君に話しているつもりで自己紹介をすれば、何となるかもしれないから……。だから、私のことを見ててほしいな……」


か、可愛い……。
頬を赤らめて俯きながらお願いする様子は、思わず抱き締めたくなるような可愛さだった。……って、僕は何を考えているんだ。

姫宮さんは友達、姫宮さんは友達、姫宮さんは友達……。

いくら姫宮さんが可愛いからって、友達に変な気を起こした駄目だろう。友達は友達で……、その、抱き締めたりしていい関係じゃないし……。


「ぼ、僕なんかで姫宮さんの緊張が解けるなら、全然構わないよ。ちゃんと、君のこと、見てるから……」

「うん、ありがとう! 宇藤君!」

そう言って微笑む姫宮さんの笑顔は本当に眩しかった。
純粋で人を疑うことを知らないような無垢な笑顔だった。
その愛くるしい笑顔を見て、僕は彼女にずっと笑顔でいてほしいと思った。だから、彼女の信頼を裏切る訳にはいかない。友達として、彼女のために出来ることをしてあげようと思った。











教室に戻ると担任教師の挨拶もそこそこに、クラスメイト全員の自己紹介が始まった。
こういう挨拶は全国共通で出席番号順になることが多い。という訳で、苗字がウから始まる僕に順番が回ってくるのは非常に早かった。前の二人の自己紹介が終わり、すぐに僕の番になってしまった。

「えっと……、宇藤大樹です。このタッパと名前のせいで昔からウドとかウッディーとかって呼ばれてます。皆さんも気軽にそう呼んでください。じゃあ、これから一年、よろしくお願いします」

とりあえず自己紹介終了。
あぁ~、緊張したぁ。こういうのはやっぱり苦手だよ。

「はは、よろしくなぁ、ウッディー」
「ウドちん、また一年よろしくなぁ~」

中学からの友人達が気安く声を掛けてきた。多分、今年もこのあだ名が定着するんだろうな。まぁ、いいんだけど……、たまには名前で呼ばれたいなぁ……。

顔見知りのクラスメイトと適当に声を掛け合い、僕は姫宮さんの様子を見た。あがり症と言っていたが、どれくらいのものなのだろうか。

……うわぁ、あれは酷いなぁ……。

姫宮さんは遠目から見ただけでも、ガチガチに緊張しているのがよくわかる。顔は真っ赤になっていて、首はすっかり縮み込んでいた。しかも、僕の位置からわかるほど小刻みに震えていた。
何と言うか、見ている方が気の毒になるくらいの緊張ぶりだった。姫宮さんの周囲の人達も、そのあまりの緊張振りを心配そうに見ていた。

だ、大丈夫なんだろうか……?
心配そうに姫宮さんを見つめていると、彼女の順番まで回ってきた。

ガタッと椅子を倒しそうな勢いで立ち上がる姫宮さん。その動きは異常に硬く、まるで油の切れた機械みたいだった。


「あああ、あの……、わわわわわわ私は…………」


可哀想なくらいに緊張している。
あれは相当なあがり症だ。話には聞いていたけど、あそこまで酷いとは思わなかった。あれでは確かに苦労しそうだった。


「……姫宮さん、頑張って」


思わず僕の想いが口から零れていた。
それは誰にも聞こえない程度の小さな呟きだったと思う。実際、僕の声に反応して振り返った者はいなかった。

ただ一人、姫宮さんを除いては。

僕の小さな呟きなんて、絶対に届かない距離だった。だけど、姫宮さんは僕の声に気付いたかのように、ハッと僕の方に振り向いていた。

今の、聞こえた……?

有り得ないと思いつつも、僕の想いが姫宮さんに届いたら嬉しいと思う。この気持ちが少しでも姫宮さんの力になってくれれば、僕はそれだけでよかった。

姫宮さんは真っ直ぐに僕を見据えると、先程までの震えが嘘のように止まった。いや、それでもまだ震えていたけど、笑顔を浮かべる余裕さえ見せてくれた。


「わ、私は、姫宮珠樹です……。えっと、新入生代表の姫宮胡桃さんの従妹です……。しゅ、趣味はピアノを少々……。え、えと、これから一年、よろしくお願いします……」


おぉ、やった!!
しっかりとやり遂げられたじゃないか、姫宮さん!!


「……ありがとう、大樹君……」


えっ……?

今、姫宮さんの声が聞こえた気がした……。
ありがとうって……? しかも、名前で呼ばれたような……?

気のせい……?
でも、本当にそう言ってくれたら嬉しいかな……。










ホームルームが終わり、僕は中学時代の友人達に軽く挨拶をしてから、鞄を持って姫宮さんの元へ向かった。

姫宮さんは他の女子達と話している途中だった(おもにあの新入生代表のことが話題)。しかし、僕が近付いてくることに気付くと、他の子達に謝って僕の元に駆け寄ってきた。

「宇藤君!」

……やっぱり、苗字だよね。
いや、まぁ、わかっていたけど……。

「自己紹介、何とかなってよかったね」
「うん、宇藤君のおかげだよ! ありがとう!」

姫宮さんは嬉しそうに僕の手を取って、満面の笑顔を浮かべた。
思い付きのアドバイスだったけど、姫宮さんの役に立てて良かった。

「私、人前であんな風にしっかりと言えたの、初めてだよ」
「うん、よかったね」

最初の緊張振りを見ていれば、今までの悲惨さは容易に想像できた。しかし、今までの失敗より、今回の成功の方が大きい意味がある。


「あっ、そうだ。一緒に帰ろうよ、宇藤君。胡桃ちゃんのこととか、紹介したいし」

「うん。それは構わないけど……、あっちの子達は……」


先程まで姫宮さんと話していた女子達に視線を送ると、何故か生温かい笑顔を浮かべられた。

「あっ、私達のことは気にしないで」
「姫宮さんはウッディーと一緒に帰りなよ」
「ふふふ……、豆柴ピンチだね。面白い展開になってきた~」

彼女達はそう言うと、あっという間に教室から出ていった。
というか、最後の一人の台詞が気になるんだけど。小豆のピンチって何のこと? 面白い展開って、これから何が起こるというのだろうか?


「……よくわからないけど、とにかく帰ろう?」

「ん~、そうだね。僕も妹とか友達のことを紹介したいし」


小豆と朝人にはメールを入れなくても待っていてくれるだろう。二人に姫宮さんを紹介して、友達になってもらおう。姫宮さんは凄くいい人だし、きっと仲良くなってくれるはずだ。

新しい友達が出来て、これからの高校生活が楽しみだな。

「あっ、そうだ」
「んっ? 何、宇藤君?」

「今度、姫宮さんのピアノ、聞かせてほしいな」

「う、うん……、いいよ……。宇藤君の前なら、きっと最高の演奏が出来る気がする」

恥ずかしそうな笑顔を浮かべる姫宮さん。
いつか彼女が奏でる旋律に酔いしれたいと思いながら、僕達は一緒に教室を出ていった。

そして、僕達が手を繋いだままだと気付いたのは教室を出た後だった。



To be continued...




あとがき

この天然がァ!
この天然がァッ!!
この天然がァァッ!!!

書いている方としては全身がかゆくなりますwww
何なんですかね、この二人は???

こいつ等、まだお互い友達としか思ってません。
えぇ、これで!! えぇ、これで!!
重要なので二回言いました。

天然コンビ、恐るべし……。
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コメント

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No title
コメント | URL | 2010-05-03-Mon 22:01 [編集]
おおぉおおwww
今日から4連続←(笑

天然さんww
可愛いですよ^P^

最後の終わり方…気になりますけどww
⇒手を繋いだまま
ってえぇぇぇぇ///
秀一様が書く小説はやっぱり素敵で好きです☆ミ
Re: No title
コメント遠野秀一 | URL | 2010-05-03-Mon 22:13 [編集]
夢さん、コメントありがとうございます。

っていうか、早いですねw
今さっきコミュの通知が終わったばっかりなのに……。

この天然コンビ、予想以上に凶悪ですwww
どうしてくれようか、この二人……。幸せにさせてあげたいなー。
でも、豆柴がなぁ……。う~ん……。

よし、惨劇だ☆

えぇ、もちろん嘘です!
絶対に信じないでください!
No title
コメント水聖 | URL | 2010-05-06-Thu 10:14 [編集]
こんにちは遠野さん

ちょ、ウドくんとタマヒメさん、どうみてもラブラブじゃないですか?!
この二人、なんだかお似合いすぎて一瞬「もうくっついてもいいんじゃないか?」とか思ってしまいました。
豆柴ちゃん、大ピンチ!

「BLACK FANG」といい、遠野さんは三角関係を書くのがお好きなんですか?

私は3人とも好きなので、だれか悲しい思いをしないといいのにな、と思います。

ところで、余談ですが、アメリカが自由の国なのは本当です。
ハロウィンとか「ヤバイ」としかいいようがないですから・・・。
でも、さすがに入学式に着ぐるみは怒られるでしょうね。
Re: No title
コメント遠野秀一 | URL | 2010-05-12-Wed 01:38 [編集]
水聖さん、コメントありがとうございます。

あの天然コンビは予想以上に凶悪でしたw
何でしょうかね? ある意味、BLACK FANGのバカップル超えました。
まだ付き合ってもいないのにwww

三角関係は……、う~ん、どうでしょう?
いろいろと葛藤が描けて、話を構成する上で楽ですから、
それなりの頻度で書いてますかね?

でも、「大きな樹の下で」を三角関係にしようと思ったのは、
「BLACK FANG」を掲載すると決めた辺りからです。

この二つの作品を対照的なモノにしたかったんです。

「BLACK FANG」は、重苦しくて修羅場が多いダークな展開なのに対し、
「大きな樹の下で」は、ほのぼのとしたライトな展開にしようと思ってます。
という訳で、こっちではマイラと初音ほどの壮絶な小競り合いはないはずです。

あぁ、この話はコメントで語るには長すぎますね。
またいつか記事にするかもです。
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