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無色の翼、鳥は何処に向かうのか?
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陽だまりの中で 第一話「Moonlight」
2011-05-31-Tue  CATEGORY: 小説:陽だまりの中で
新作です。
以前予告しましたが、大きな樹の下での姉妹作品です。
樹の下での主人公、大樹&小豆とは別のもう一組の幼馴染コンビ、
シャルロッテ&朝人のコンビの話です。

樹の下での過去話です。
幼馴染の関係については、
「大きな樹の下で 第十一話」でチラッと語ってます。
興味がありましたら、樹の下での方もどうぞ<(_ _)>

・大きな樹の下で



陽だまりの中で
第一話「Moonlight」


夜闇が支配する月の刻。
月影に秘された静かな告白は常に人を惑わす。
それは暗き深淵への招待状のように、甘く優しい破滅を呼ぶ。



「……ヴァンパイア、それが今まで隠してきた私の正体だ……」

銀髪金眼の少女は、人間の背中には決して存在しない漆黒の翼を広げて厳かに宣言した。微かな星光を集めて淡く輝く少女は人間とは似て非なる怪物であったが、それ故に蠱惑的な美しさに満ちていた。

大いなる闇の眷族。
不死者を統べる永遠の王。
高貴なる夜闇の支配者ヴァンパイア。

深夜の校舎。立入禁止の屋上に静かに立つ少女は、呼び出した少年に対して自らが伝説の怪物であると名乗った。その証拠として少年の目の前で蝙蝠のような黒い翼を見せた。
驚くべき告白を聞かされ、ヒョロリと背の高い少年は言葉を失った。物語に綴られる吸血鬼を目の前にして、少年は茫然と立ち尽くすことしか出来なかった。

しかし、少年を驚愕させたのは、伝説の怪物との邂逅ではなかった。
いつも共に過ごしてきた少女の真なる姿がヴァンパイアであったことに衝撃を受けたのだ。

「……驚いたか、大樹?」

吸血鬼は悲しそうな笑みを浮かべていた。
それは少年がいつも見ていた少女と同じ表情だった。
だから、ようやく目の前で黒翼を広げるヴァンパイアが、少年のよく知る少女と同一人物だと理解する。

「うん、言葉も出ないくらいに驚いた」
「…………私が恐ろしいか?」

少年は首を横に振る。
驚きこそしたが、少年は一度として恐怖を感じていなかった。
何故なら、目の前にいるのは恐ろしき吸血鬼である以前に、少年にとって大切な存在だったから。恐怖など抱くはずがなかった。

「怖い訳がないだろう、シャル。君がヴァンパイアだろうと、僕の大切な幼馴染に変わりない。だったら、僕は変わらないし、小豆や朝人だって変わらない。君の不安に思っているようなことなんて絶対ない。僕達はこれからもずっと仲良し四人組のままだよ」

「……私はその言葉を信じていいのか、大樹……?」
「じゃあ、シャルは僕が狼男だったら友達やめちゃうかい?」

「そんなことはない! お前が何者であろうと、お前が私の友であることに変わりはない!」

少年はその答えを聞いて優しく微笑んだ。
それは少年と同じ答えだったから。

「僕だって、小豆や朝人だってきっと同じだよ。僕達はいつまでも変わらない。変わるはずがないんだ」

「変わらない。そうか、私達の友情は何があっても変わらないんだな」

銀髪を風になびかせながら、少女は嬉しそうに微笑んだ。

「さぁ、馬鹿な心配なんてしてないで、さっさと帰ろう。夜の学校にいるってバレたら大変だよ、シャル?」

いつもと同じように、少年は少女に向かって手を差し出した。
少年はいつだって変わらない。どんな時でも優しく、どんな場所でも温かく包み込んでくれる。そんな彼がいるから、いつも少女は真っ直ぐに駆け抜けることが出来た。

ありがとう、受け入れてくれて。
少女は心の中で何度も繰り返した。
真実を明かせば、拒絶されるかもしれない。だけど、それでも間もなく消える少女は真実を語らなければいけなかった。

少女は嘘を吐けず、何事からも逃げられない性分だった。
もう時間は残されていない。少女が当たり前のように少年の側にいられる時間は残り短い。だからといって、黙って消え去ることは出来なかった。大事な友人だからこそ真実を教えなければならないと思っていた。

故に、拒絶されることを承知で真実を告白した。
しかし、少年はいつもの優しさで包み込んでくれた。
少女は頬を赤らめ、少し戸惑いながらも少年の手を取った。この温もりがどうか永遠であってほしい。少女は月影にそう願う。

月明かりの下、二人の影はずっと一つだった。










一方、その頃。
もう一組の幼馴染達は電話で長話をしていた。
長話と言うより、一人が勝手に長々と語っているだけだったが。

「だからな、どうすればシャルをデートに誘えるかってのが問題なんだよ。わかるか、小豆?」

「……おい、朝人。お前、深夜に電話掛けてきたと思ったら、そんなくだらない話か、あァ? 死ぬか? 一度死んでみるか?」

少女の声は相変わらず不機嫌そうだった。
不機嫌というよりガラが悪かった。内面は割と乙女なのだが、外面はチンピラなチビッコだった。風呂上がりのまま格好なので、普段はポニーテールにしてある髪がしっとり濡れたまま背中に下ろされている。

「俺がどこかに誘ってもシャルが必ずお前等を誘うから、デートにならねぇんだよ。どうにかしろよ」

「……まぁ、シャルだからな」

もう一人の幼馴染の少女は四人一緒にいることを好む。彼女は幼馴染四人組のリーダーで、常に他の三人のことを考えて行動する。みんな平等になるように、時に自分を犠牲にしても友達のために力を尽くす。

「という訳でシャルだけを誘うのは諦めた」
「ついでにシャルのことも諦めろ。お前には高嶺の花だ」

彼女は誰もが羨むほどに美しい。
まるでお伽噺に出てくるような姫君。
溜め息が出るほどに憧れて、決して届かない美の境地。
それでいて気高さと優しさを両立し、非の打ちどころなどどこにもない完璧な存在。一体誰があの完璧な彼女の隣に立てるのだろうか。

「シャルのことは諦めねぇよ!! お前だって大樹のこと、諦められるってのか!?」

「ばっ……、馬鹿!? 私は別に大樹のことなんて……!?」
「今更隠すな。気付いてないのは、大樹とシャルくらいだぞ」

鈍感超特急の二人は、恋愛事に関しては恐ろしく鈍かった。感情がすぐに顔に出ることに定評がある幼馴染の恋心にさえ気付かない。

「だから違うって!!」
「じゃあ、シャルに大樹を取られてもいいのか?」

「そんなの嫌だ!! って、くわぁ……。朝人如きに乗せられた……」

この少女の想いに気付かないのはあまりに鈍過ぎる。
少年は携帯電話を持ちかえながら苦笑した。

「最近あの二人、いい雰囲気だぞ! なんか、俺達も知らない秘密を共有しているみたいな、そんな雰囲気か? とにかく、俺達もそろそろ本気で行かないとヤバいんだって!」

「うっ……。それは……」

確かにそんな気はしていた。
だからこそ、最近少女は気が立っていたのだ。

「小豆、俺は本気なんだ! お前だって本気なんだろう! このままあいつ等がくっつく未来なんて見たいのか! 俺は嫌だ! シャルのことだけは絶対に大樹に負けたくない!」

「……ちっ、暑苦しい奴……」

悪態を吐きながら少女は薄く微笑んでいた。
基本的にこの二人はよく似ている。熱くて直情的で、いつだってブレーキなしの暴走車。突っ走ったら止まらない。

「仕方ないから協力してやんよ。シャル相手なら諦めも付くかもしれないけど、やっぱり私だって大樹に振り向いてほしいしな」

「そうこなくっちゃな、小豆!」
「あぁ、やってやるぞ、朝人!」

電話越しでなければハイタッチでもしそうなテンションの二人。
月明かりに見守られながら、幼馴染四人の関係は静かに変わろうとしていた。それぞれの想いはもう止まらない。運命の歯車は誰にも止められない勢いで動き始めていた。

変わらない友情を願う二人。
変わりたい愛情を抱える二人。

全ての発端はヴァンパイア少女、シャルロッテ・バッハシュタインの告白だった。変わりたくないと願っていた少女の小さな足掻きが、安定していた四人の関係をほんの少しだけ傾けてしまった。

それは些細だが、確実な変化。
少年少女の願いと関係なく時は一刻と過ぎていく。
四人の幼馴染の関係はどのように変わっていくのだろうか。




To be continued...



あとがき

……アレですね。
樹の下では豆柴が大変そうでしたが、
陽だまりの方では朝人君が大変ですそうねww

「大きな樹の下で 第十一話」ですでに四人の関係が
どうなっているか決まっていますが、現段階はアレですからね。

ちなみに、樹の下でのちょうど一年前の話です。
みんな、中学三年です。
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