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無色の翼、鳥は何処に向かうのか?
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大きな樹の下で 第一話「はじまりのはじまり」
2010-03-28-Sun  CATEGORY: 小説:大きな樹の下で
名古屋行っている間にケータイで簡単にまとめた作品です。
一応、小説ブログと掲げているので何か出しとかないといけない
と思って、突発的に書いてみました。連載小説の予定です。

一応、これから投稿しようと思っている小説大賞の〆切が近いので、
ここ一ヶ月くらいは頻繁に更新しないと思いますが、
気長な目で読んでいただけると幸いです。



大きな樹の下で
第一話「はじまりのはじまり」


春、新たな始まりを告げる季節。
穏やかな日差しが新たな門出をする者達を祝福する。
優しい風が道行く者達の背中を押してくれる。

見事に咲き誇る桜が立ち並んだ道には、藍色の制服に身を包んだ高校生達を歩いていた。そんな生徒達の中に、真新しい制服を着た初々しいひと組の少年少女がいた。

今年高校に入学する新入生達だ。
一方は、期待と不安に満ち溢れた新入生らしい表情。
一方は、何となく気だるげな新入生らしくない表情。
新入生の二人は桜並木を一緒に歩き、これから様々な想いを経験することとなる学び舎に向かっていた。


「晴れてよかったね。せっかくの入学式に雨なんて嫌だしね?」

「あァ? んなこたぁ、どーでもいい。式なんてかったるいぜ。さっさと帰りてぇ……」
「まだ学校に着く前からそんなこと言って……」

「うっせぇ! 文句あんのか?」

「まぁ、せっかくの入学式当日にそんなことを言われれば、期待に胸を含ませている身としては文句の一つも言いたいよ。あと、もっと早く起きて朝ご飯をしっかり食べてほしいとか。チンピラみたいに肩いからせた歩き方は止めてほしいとか。もっと好き嫌いをなくしてくれないとお弁当の献立が困るとか……」

「文句多いな!!」

「そりゃあ、生まれてこの方、ずっと世話焼き女房をやってれば……」
「あァ~、うぜぇ……」


若干話が変わるが、情報不足は往々として誤解を生むものである。

人間には足りない分の情報を推察して補完する優れた能力がある。話に主語がない場合や、騒音などで断片的な言葉しか聞こえない場合でも、状況等から相手の言いたいことを察することは誰にでも経験があるだろう。
だが、優れた言語能力や状況把握能力が時として間違いを起こす場合がある。

それは、常識や価値観にズレが生じた時だ。自身の認識と異なる常識を前提とした話をされた時、人は誤った情報補完を行って誤解を生んでしまう。


「女の子なんだから、もう少し言葉遣いを改めてほしいな」
こちらの優しい世話焼き女房が、男の子。

「ほっとけや!」
こちらのチンピラもどきが、女の子。


二人の関係は幼馴染。共に両親が親しかったため生まれた時からの付き合いで、親しい友人というより兄妹に近い間柄だった。
彼等の両親は共働きでよく家を空けることが多く、小学生の頃まではどちらかの家に預けられることが普通だった。現在では二人も充分に成長したため、どちらの両親も揃って子供を置いて長期出張中だった。
そして、家事能力がない者が、家事能力がある者に依存するのは自然の成り行きだった。


「まぁ、ほっといてもいいけど、それで生活できるの?」
「うっ……」

「せめて料理くらい覚えてほしいな。そんなんじゃ彼氏が出来た時とか困るんじゃない? いい加減、僕から卒業して……ぅおァッ!!」


向こう脛に痛恨の一撃が入り、少年はうずくまって悶絶した。
見事な前蹴を放った少女は何故か眉を吊り上げ、鼻息を荒くしていた。少女は非常に苛立っている様子で、一撃を入れただけでは気が済まないようだった。うずくまったまま少年に容赦なく追撃を加えた。
あまりに壮絶な暴行だったので、周囲にいる通学中の高校生達は止めた方がいいのではないかと騒ぎ始めていた。
しかし、勇敢な仲裁者が入る前に少女の攻撃は止んだ。


「いつもいつも同じ説教、うぜぇんだよ! 私は一生、料理なんて覚えるつもりはねぇよ! こォの、馬鹿馬鹿馬鹿ッ!!」


少女は子供みたいな捨て台詞を吐いて、その場から駆け出してしまった。
痛みに悶絶している少年は当然ながら、一部始終を目撃していた生徒達も呆然と走り去っていく少女の背中を眺めていた。かなりの俊足で凄まじい勢いで距離が離れていったが、途中で派手に転倒した。

あの転倒は相当に痛いだろう。女の子なのに顔面から地面に突っ込んでいた。顔を押さえて悶絶しているのだが、もう少し女性らしい痛がり方をしてほしかった。


「……はぁ、仕方ないな」


盛大な溜め息を吐き、少年は痛む身体を起こした。
彼女は無鉄砲に突っ込むくせに必ず落とし穴にハマるようなタイプだった。目を離せば、ろくなことにならないのは間違いなかった。残念ながら、確定事項といっても過言ではないレベルだった。そんな少女を放っておけるはずがなかった。


「やれやれ……。もうしばらくは僕が面倒見ないといけないみたいだね……」


少年は苦笑を浮かべながら、駆け足で少女の元に向かった。

まだまだ少女が、少年から卒業する日は遠そうだった。そもそも、そんな日が来るのかさえ予想できなかった。

今はまだ少年と少女は一緒の道を歩き続ける。
しかし、これからも同じ道を歩んでいくのか、それとも別の道を歩んでいくのかは二人自身にもわからなかった。少年と少女が進むべき道は夜空を照らす星の数より多く、果てしなく続く地平の先まで続いていた。
しかし、ピタゴラス定理によって求められる可視地表との距離は人が想像する以上に近いものだった。

もしかすると、二人が思っている以上に早く分かれ道に辿り着いてしまう可能性もあった。その時、二人はどんな選択を選ぶのだろうか。

二人の物語はまだ始まったばかり。
地平の先の道はどこに向かっているのだろうか。




To be continued...



あとがき

Web初小説、どうだったでしょうか?
タイトルのとおり、まだ始まったばかりの物語です。
主人公の名前すら出ていないので、
コメントもしづらいと思いますが、
これからも読んでやろうかな、という気持ちに
なっていただけたでしょうか?
もし、そう思っていただけたなら幸いです。

ストーリー展開は遅いと思いますが、
各キャラクターの心情を深く描いていきたいと考えています。
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