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無色の翼、鳥は何処に向かうのか?
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大きな樹の下でAF5.「聖なる夜はワガママな君と(後編)」
2010-12-25-Sat  CATEGORY: Another Future
わぁ~、時間がない!!
もうすぐ25日が終わりそうです!!
という訳で、本編へどうぞ!!

・大きな樹の下で
・大きな樹の下でAF5.「聖なる夜はワガママな君と(前編)」



大きな樹の下で -Another Future-
AF5.「聖なる夜をワガママな君と(後編)」



楽しい時間はあっという間だった。
大好きな恋人と大切な友達と一緒に過ごしたクリスマス・パーティは本当に楽しかった。これまで幼馴染四人組と一緒にいる時は少し疎外感があったが、今日はそれまでと違って本当の友人として一緒にいられた気がした。

本当に楽しかった。
その気持ちに嘘偽りなんてない。
だけど、少しだけ心残りがあるとすれば、それはきっと大樹君と二人きりになれなかったことだ。

小豆ちゃんには、恋人と二人きりで過ごすクリスマスに興味はない、と言ったが、やはり本当は少しだけ憧れていたのかもしれない。パーティが終わった今になって、それに気付いた。

もちろん小豆ちゃん達とパーティに参加したことに後悔なんてない。シャルちゃんとも仲良くなれたし、みんなとの絆が深まったことは本当に嬉しいことだ。

だけど、私はワガママなのかな……?
大樹と二人だけの時間も欲しかったなんて思うのは……。



「どうした、珠樹?」
「えっ……?」


部屋の片付けの途中、シャルちゃんから声を掛けられてハッとする。考え事に没頭するあまり、いつの間にか作業の手が止まっていたようだ。

どうやら随分と考え込んでいたようで、時計を見ると五分も針が進んでいた。パーティ会場となった大樹君の家のリビングには、いつの間にか私とシャルちゃんだけになっていた。大樹君達はクリスマス・ディナーで使った皿を全て運び終え、キッチンで洗い物をしているようだった。

「あっ……、何でもないよ」
「そうか? 何でもない、という風には見えないな」

凛々しい顔立ちのままシャルちゃんは私の瞳を見つめる。あまりに真っ直ぐな瞳に私は思わず目を伏せてしまった。

「パーティは楽しくなかったか?」
「そ、そんなことない! とっても楽しかったよ!」

クリスマス・パーティに参加していなかったら、シャルちゃんと仲良くなることもなかった。小豆ちゃんや日向君がはしゃいでいる姿を見られて楽しかった。大樹君の大切な友人達を、私も大切だと思うことが出来たことが嬉しかった。

本当に……、本当に楽しかった。
だけど、大樹と恋人として過ごす甘い時間も欲しかった……。

みんなと一緒に過ごす時間だって大切なのに、二人きりの時間も望んでいる。それは矛盾した願いだ。どちらか一方を得れば、どちらか一方を失ってしまう。二律背反の想いを望むのは、ワガママ過ぎるだろうか。


「そうか……。そう言ってくれたこと、友としてとても喜ばしいぞ。
 だけど、珠樹……。無理をしなくていい。女の子はワガママでいいんだ。君は君の望む願いのために行動しろ」

「私の望む願い……?」

「大樹と二人きりの時間が欲しいんだろ?」
「えっ……? ど、どうしてわかるの、シャルちゃん……?」

「わかるさ。私だって同じことを去年も想ったからな。朝人と一緒に過ごしたい。だけど、幼馴染全員で過ごすパーティもやりたい。どっちも私にとって譲れない想いだった。だから、どっちも叶えた」


去年のクリスマスで、シャルちゃんは日向君とのデートも、幼馴染全員が揃うクリスマス・パーティも、どちらも諦めなかった。日向君とのデートが終わるとすぐさま全速力で大樹君の家にまで行き、恒例のクリスマス・パーティにも参加した。


「珠樹のおかげで今年も私の願いは叶えられた。だから、珠樹、そんな顔をして俯いている時間はないぞ? まだクリスマス・イブは終わっていないんだからな」


シャルちゃんは時計を指差しながら、凛々しい笑顔を浮かべる。
時刻は十一時。クリスマス・イブが終わるまで、あと一時間。先程まであと一時間しか残っていないと思っていた。だけど、シャルちゃんの言葉を聞いて、まだ一時間もあると思えた。

「シャルちゃん……。シャルちゃんって本当、凄いね……」

「当然だ。それがいい女というモノだ。
 珠樹、今年の片付けは免除してやる。だから、とっとと外に行って待っていろ。すぐに大樹を連れてきてやる」

「えっ……? で、でも……」
「ほら、さっさと行け」

「ちょ、ちょっと、シャルちゃん……!? ま、待って……!?」


シャルちゃんは私を無理矢理立たせると、そのまま玄関まで私を押していく。そして、ほとんど抵抗なんて出来ない勢いで押し切られ、寒空の下に放り出されてしまった。

家の方からドタバタと何やら騒いでいる声が聞こえてくる。それから待つこと数分。大樹君もシャルちゃんに背中を押されて、玄関から放り出された。

「コラ、シャル! 僕はまだ洗い物が……」

「そんなことは私達に任せておけ。お前はつべこべ言わずに、珠樹とデートしてこい」

シャルちゃんはそう言い切ると、バタンと扉を閉めてしまった。ガチャ、と鍵を回す音まで聞こえた。完全な閉め出しを食らい、大樹君は茫然としていた。

「……し、心配だ、小豆とシャルに皿洗いをさせるなんて……。何枚の皿が犠牲になるんだろ……。あぁ、朝人、あの二人に危険なことをさせないでよ。本当、頼むから……」

大樹君は頭を抱えながら大きな溜め息を吐いた。顔を上げても、心配そうな顔のままで、落ち着きなく玄関を見つめていた。

やっぱり、迷惑だったかな……?

大樹君は真面目だからクリスマス・パーティの片付けを途中で投げ出して、私とデートをするなんて嫌なのかもしれない。いや、そもそも今日はパーティがあったし、大樹君は私とデートをする気なんて最初からなかったのかもしれない。

みんなとの時間も過ごしただけで大樹君は満足だったかな?
だったら、これからデートをしてほしいなんて言うのはワガママが過ぎるかな……?

やっぱり、ワガママだよね……。
でも、今日、初めて二人きりになれた……。

それだけでも充分嬉しいことだ。大樹君が側にいてくれるだけで幸せだ。その気持ちだけでも伝えたかった。


「あ、あの、大樹君……」
「んっ? 何、珠樹?」

「えっ……っと、その……」
「焦らなくていいよ、珠樹。僕はいつまでも君の言葉を待つから」


伝えたい言葉がある。だけど、それを上手く口に出来ない。
いつも私は緊張して失敗ばかりする。想いを言葉にするのがとても下手なのだ。だけど、いつだって大樹君は優しい笑顔で私のことを見守ってくれる。彼の笑顔を見つめていると、ふっと胸が落ち着いてくる。

大樹君の笑顔を見て、私はやっぱりこの人が大好きなんだと思い知る。
私はもう彼の笑顔がない世界では生きられない。



「……ふ、二人きりだよ! 今日初めて!」

「うん、そうだね……。ちょっと予定は早まっちゃったけど、やっと二人きりでデートが出来るね」



木漏れ日のような穏やかな笑み。
大樹君の笑顔はいつだって私を優しく包み込んでくれる。彼も私と同じ気持ちでいてくれたことが嬉しい。
この人のことを好きになって、恋人になれて本当によかった。

貴方に伝えたい大好きな気持ちがたくさんある。だけど、あまりに嬉しくて声にならない。何よりも、この百億の想いを言葉にしたら、きっとクリスマス・イブなんてあっという間に終わってしまう。

だから、私はそっと大樹君の胸にコツンと頭を預けた。
この気持ちが大樹君に届くように、と願いながら。










クリスマス・イルミネーションに彩られた光輝く道を歩いていく。
私達の大好きな街が夢と希望に満ちた光で輝いている。この星空よりも眩い数多の輝きはきっと幸せの光だ。聖夜に想いを馳せた人達の希望。この光の中にいるだけで幸せな気持ちを分けてもらえる気がする。

たくさんの幸せをありがとう……。
思わずそんな言葉をイルミネーションに輝く街に伝えたくなる。

このクリスマス色の街中で私達は初めて腕を組んだ。手を繋いだことはこれまでに何度かあったけど、恋人みたいに腕を組んだのは今日が初めてだった。最初は私も大樹君も緊張していたけど、いつの間にかこうして腕を組んでいるのが当たり前のように感じられた。
私達の間に会話はなかった。だけど、触れ合った場所からお互いの気持ちが伝わってくる。今がとても幸せだ、と心の底から感じられた。

今はただ、この時間が永遠であってほしいと願う。

幸せいっぱいな気持ちで歩いていると、駅前公園にある巨大なクリスマス・ツリーの前まで辿り着いた。


「……綺麗だね」
「うん……」


クリスマス・ツリーの前でようやく私達は言葉を交わした。
幻想的な光を纏うクリスマス・ツリーは、世界中の人達を祝福しているように優しげに微笑んでいる。何となく大樹君みたいな感じだな、とひそかに想う。


「珠樹、僕達のパーティはどうだった?」
「とっても楽しかった……。シャルちゃんとも仲良くなれたし」

「そういえば、随分と親しくなってたね」
「うん。シャルちゃんって格好いいよね。憧れちゃう」

「ははは、そうだね。シャルは格好いい。というか、男前だね。いや、むしろ雄々しいって感じかな? あっ、でも、本人には格好いいとか言っちゃ駄目だよ?」

「えっ、どうして?」

「シャル的には、可愛い女の子でありたいと思っているから、格好よさとかは不要だって言い張っているんだよ。その割に言動は全部男前だけどね」

「そうかな? シャルちゃんはとっても女の子らしいと思うよ?」


大樹君は何故か苦笑をするだけ返事はくれなかった。
男の子にはシャルちゃんの可愛さが伝わらないのだろうか。あんなに格好良くて可愛い人はそうそういないと思うのだが。

あっ、でも、日向君はそんなシャルちゃんの可愛さに気付いたから、シャルちゃんのことを好きになったのかな……?

……大樹君はシャルちゃんの可愛さに気付かなくても、いいかな?
だって、シャルちゃんと競い合っても勝てる気が全然しないし……。何となく、大樹君が他の女の子の魅力に気付くのは嫌だな……。


「まぁ、シャルの話は置いといて。来年も五人一緒にみんなでパーティが出来るといいね」

「うん!」

「珠樹がそう言ってくれてよかった。大事なクリスマスだから、みんなと過ごしたい。だけど、珠樹のことだって独り占めにしたい。矛盾している願いだけど、僕はどっちも諦めたくなかったんだ。
 だから、珠樹がみんなと一緒にいてくれることを受け入れてくれて嬉しかった。君と恋人になれて、本当によかった」

「大樹君……」


一緒の気持ちでいてくれたんだ……。
どうして大樹君はいつも私と同じ気持ちでいてくれるんだろう?

こんなにも同じ気持ちでいてくれる人と出会えたのは、きっと奇跡なのだろう。世界中で誰よりも私と同じ気持ちでいてくれる大切な人。この人と出会わせてくれた奇跡を神様に感謝したい。


「僕は……、ワガママかな……?」
「……ううん。私だってワガママだよ……」


私は大樹君の胸に飛び込んで、私の想いを伝える。
大樹君にも知ってほしい。私と貴方の想いが同じであることを。


「私もみんなと一緒にいる時間が大好き。でも、大樹君と二人だけの時間も欲しいの。そんなこと言ったらワガママだって嫌われるかと思って言えなかったけど、大樹君も同じ気持ちでいてくれて、よかった……。本当によかった……」

「じゃあ、僕達はやっぱり似た者同士だね」


大樹君は優しく私の頬を撫でて、そっとキスをしてくれた。
私も精一杯に背を伸ばして、大樹君の唇に私の想いを伝える。
そうして私達は身も心も一つになるように何度も何度もキスをした。私の大好きな気持ちを伝えたい。貴方の大好きな気持ちをもっと知りたい。唇を重ねるたびに私達は一つになれる気がした。

大樹君、貴方と出会ってから私はどんどんワガママになっていく。数え切れないくらいの願いが溢れてくるのだ。


「珠樹、一緒にワガママになっていこう……。僕は君の願いを叶えるから、君も僕の願いを叶えて欲しい……」

「うん……! うん……!」


その時、遠くの時計台から十二時を告げる鐘が鳴り響いた。
十二時の瞬間を迎えると、公園のクリスマス・ツリーのイルミネーションは夜闇さえ払うような煌びやかな輝きを放った。まるで超新星のような輝き、ベツレヘムの星を想わせる力強い輝きだった。
そんな幻想的な光の中で、私達の影は確かに一つになっていた。


「メリー・クリスマス、珠樹……」
「メリー・クリスマス、大樹君……」





The End of Another Future Story




あとがき

時間がギリギリでしたね。
もうヤバかった……。

このバカップルはやっぱり恥ずかしいですね。
でも、一番書きやすいですww っていうか、珠樹が好きですwww
えぇ、完全なひいきですが、何か?www
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コメント

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No title
コメント水聖 | URL | 2010-12-27-Mon 11:28 [編集]
おお、ラブラブでっすね^^
やっぱり本当はバカップル好きなんですね(決めつけている)
珠樹さんはいつもけなげですね。誠実な大樹くんとお似合いです。
小豆ちゃんとのAFとはほんと別人のようだ・・・。

ここで、こそっとリクエストしていいですか。
東雲さんの悪い子になる前の話が読みたいです。凪さんも出してくださると嬉しいなあ、とつぶやいてみる。
Re: No title
コメント遠野秀一 | URL | 2010-12-31-Fri 19:18 [編集]
水聖さん、コメントありがとうございます。

> おお、ラブラブでっすね^^
> やっぱり本当はバカップル好きなんですね(決めつけている)

き、決め付けられた?!www

> 珠樹さんはいつもけなげですね。誠実な大樹くんとお似合いです。
> 小豆ちゃんとのAFとはほんと別人のようだ・・・。

別人じゃないんですが、
ウッディーがイチャイチャしたがる人なので、
抵抗されると強引にいっちゃうだけでww

> ここで、こそっとリクエストしていいですか。
> 東雲さんの悪い子になる前の話が読みたいです。凪さんも出してくださると嬉しいなあ、とつぶやいてみる。

おぉ~……。
書くか書くまいか決めかねてた内容なんで、
どーしましょうか?ww
と言いつつ構成固め中。
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