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無色の翼、鳥は何処に向かうのか?
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大きな樹の下で 第四話「タマヒメ」
2010-04-12-Mon  CATEGORY: 小説:大きな樹の下で
少し間が空いてしまいましたが、「大きな樹の下で」更新です。
ぶっちゃけ、突発思い付きの見切り発車だったんですが、
何となく構想が固まってきました。

あと、BLACK FANGの登場人物と苗字がかぶってしまって……。
うわぁ~、やっべ~って思ってます。

BLACK FANGの方は結構古い作品だから忘れてたんですよwww

・第一話「はじまりのはじまり」
・第二話「大きな樹」
・第三話「ワンコの気持ち」



大きな樹の下で
第四話「タマヒメ」


「……大丈夫ですか?」

優しく伸ばされた手は、白く透き通った大理石のような美しさだった。

小豆に蹴られてうずくまっていた僕は、その綺麗な手に一瞬見惚れてしまった。
同じ人間の手でも、これだけの違いがあるのかと思うほどに芸術的な指の並び方をしていた。ただ差し伸べているだけなのに、一つ一つの指がもっとも美しい姿勢を取るようにしている神経が末端まで通っているように思えた。

そうして見惚れていた一瞬だけは痛みを忘れることが出来た。
しかし、感動というものは一瞬にしか得られない。いつまでも手に見惚れているのは失礼だと思考回路が警告した瞬間、僕は正気に戻った。当然、痛みも戻ってきた。


今、僕がいる場所は新入生のクラス割案内板の前だった。
幼馴染を怒らせて強烈なローキックを食らってうずくまっていたところ、美しい手をした誰かが僕に手を差し伸べてくれたのだ。

痛みで忘れかけていた現状を確認。

捨てる神もいれば、拾う神もいる。理不尽に人の足を蹴るチビッコもいれば、うずくまっている僕を心配して声をかけてくれる親切な人もいる。世の中、まだまだ捨てたものではなかった。


「だ、大丈夫です。すみません、心配をおかけして……」


僕は優しく差し伸べられた手を掴み、親切な人の姿を見上げた。
そして、再び息を呑んで見惚れてしまうことになった。


「いえ、いいんです。それより、足の方は痛みますか?」


ふわり、と微笑んだ。
まるで舞い降りてきた天使の羽根のような可憐な笑顔だった。
優しくて、温かくて、ホッとするような魅力に僕は完全に惹き込まれていた。

花園に舞う妖精かと見間違えるほどに美しい少女だった。

人に安心感を与える眩い笑顔が印象的な少女は、どうやら僕と同じ新入生らしい。同じ真新しい藍色の制服を着ているのに、彼女が纏う制服はまるで別物のように眩しかった。

ふわりと柔らかな印象を与えているのは、腰まで伸びた緩やかな黒髪だろう。春の麗らかな日差しを浴びた柔らかい髪は、陽光を浴びて宝石のように輝いていた。どこまでも澄んだ瞳も吸い込まれそうなほどに綺麗だった。彼女という存在自体がまるでオーダーメイドの人形のように完璧な調和をなされているように思えた。

「あの、どうしました? やっぱり、まだ足が痛いんですか?」
少女の瞳が心配そうに微かに揺れた。

「いえ、ちっとも痛くないです!」

えぇ、当然嘘ですよ。
痛いです。とても痛いです。まだうずくまっていたいくらいに痛いです。
あの豆柴は手加減という単語を辞書から切り抜いているからいつも泣かされています。

「よかったぁ……」

「えっと、すみません。心配掛けてしまって」

「いえ、それはいいんですけど、あの走っていった女の子の方は大丈夫なんでしょうか? 何か、ショックを受けていたようですけど?」

「まぁ、いつものことですから……」
本当にいつものことだ。僕が小豆に蹴られるのは。

「それに、追い掛けようにも姿を見失ってしまいましたし……。あとで宥めておきますよ。アイツの世話は僕の仕事ですし」

「仲がいいんですね」
「えぇ、妹ですから」

「羨ましいです。私、兄弟っていないから憧れます」
「……まぁ、たまに蹴られますが、いいものですよ。……って、あっ!」

と普通に話していて、先程助け起こしてもらってからずっと少女の手を握っていたことに気付いた。僕はなんて失礼で、しかも恥ずかしいことをしていたのだろう。

「あっ……」

少女の方も僕の視線を追って、ようやく手を繋ぎ続けていたことに気付いて顔を赤くした。
どうやら互いにウッカリしていたようだが、過失は握り続けていた僕の方にあるだろう。僕は慌てて彼女と手を離し、深々と頭を下げた。


「ご、ごめん! 何だかずっと手を握ってて!」


「あっ、ううん! 私も気付かなかったし!」


お互い焦っていたためか、敬語口調が崩れて素の調子に戻っていた。しかも、結構大きな声になって、周りの注目を集めていた(実は蹴られた時から結構見られていたけど)。それがまた恥ずかしくて、僕と少女はまた顔を赤くした。
その場に居た堪れなくなった僕達は、恥ずかしげに苦笑しながら一年八組の案内板から離れることにした。

「……あ、あははは。申し訳ない、僕のせいで君にまで恥をかかせてしまって」
「き、気にしないでください。全然平気ですから」

そそくさと移動しながら、小声で話し合った。
僕達が移動したのは一年九組の案内板だ。つまりは隣のクラスの案内板に移動しただけだ。ちなみに、この九組が一年クラスの最後だった。

「あっ……」

僕も一年九組の案内板を見て、思わず小さな声を出してしまった。
出席番号三番、宇藤大樹。どうやら僕は一年九組だったらしい。偶然視線を置いた場所に自分の名前があって少し驚いた。自分のクラスを探す手間が省けて助かった。

「あの、もしかして九組だったんですか?」
「えぇ、そうみたいです」

「じゃあ、一緒のクラスですね」

「えっ? 本当?」

思わずまた敬語が吹っ飛んでしまった。
少し恥ずかしかった。同年代なのだから敬語は使う必要はないかもしれないけど、何となく格好悪いところを見せた気がした。

「はい、そうみたいです。これから一年間、よろしくお願いします」
「うん、よろしくお願いします……って、クラスメイトなら敬語とかいらないよね?」

「はい……じゃなくて、そうだね。私、姫宮珠樹。よく人からのんびりし過ぎとか言われてるから、いろいろ迷惑とか掛けちゃうかもしれないけど、これから仲良くしてくれると嬉しいな」

「僕は宇藤大樹。実は僕ものんびりし過ぎって言われること多いんだよ……。こっちこそ迷惑掛けちゃうかも、っていうか、すでに迷惑掛けちゃったけど、これからよろしく」

僕達は互いに照れ臭そうな笑顔を浮かべ、これから一緒に高校生活を送る友人として自己紹介をした。

姫宮珠樹さん。うずくまっている僕に声を掛けてくれた優しくて親切な人だ。彼女となら、いい友達になれそうだった。新学期早々、こんないい人と知り合えて本当によかった。

素敵な友人に巡り会えて、高校生活の期待は更に高まっていった。彼女も同じ気持ちなら嬉しい。

「……私、男の子の友達って初めて」
「えっ? そうなの?」

「うん。あんまり男の子と話すことってなくて、実はさっき話し掛けた時も凄くドキドキしてたの。でも、宇藤君は何だか温かくて話してたら、ホッとしちゃった」

「僕も姫宮さんと話しているとホッとするな。初めて会ったばかりなのに、何でだろう? ずっと前から知っているような安心がある気がするんだ」

不思議な感覚だけど、僕の中の何かが彼女を知っているような気がした。
姫宮さんと出会ったのは今日が初めてで間違いないはずだ。しかし、彼女の雰囲気をどこかで知っているような気がする。こうして一緒にいると、とても心が落ち着くのだ。
本当に不思議だと思う。こんなにも安心感に包まれるなんて、小豆と一緒にいる時にだってないのに……。

「あっ、私も! 私もそんな気するの! ……もしかしたら、前にどこかで会ったことがあるのかなぁ?」

「もしかしたら、前世とか?」

もちろん冗談で言ったのだが、あながち外れでもない気がした。
いや、というか今の滑ってないかな? 冷静に考えると結構恥ずかしいことを言ったような気が……。

「私もそう思う。だったら、運命だね」
「そうだね」

「私達、きっといい友達になれるね」

天使のような笑顔で姫宮さんは言った。僕も彼女とはいい友達になれると思ったので、満面の笑顔で応えた。

あっ……、そうか……。

似ているんだ、僕と彼女は……。

感覚的に思うことが近いから、一緒にいると安心できるんだ……。

もし、僕も目の前で誰かが倒れていたら、それが苦手な相手でも声を掛けたと思う。ウッカリと手を握ったまま忘れてしまうところも同じだったし、慌てると素が出てしまうところとかも同じだった。それに、お互い、のんびり屋って自覚があるし。

そっか、そうなんだ……。
姫宮さんとは本当にいい友達になれそうだ。
一緒にいると安心できるし、

……でも、何だろう? 友達と言われた時に、少しだけ……。いや、きっと気のせいだ……。

だって、友達って言われて嬉しいはずなのに……、

どうして、少しだけ寂しいって想ってしまったのだろう……?




To be continued...



あとがき

天然と天然の邂逅です。
共に天然だからこそ、独特のペースが……。

っていうか、豆柴、大ピンチですねw
好きな人は天然、ライバルも天然ww
いろいろ苦労しそうなのが目に見えてますねwww
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コメント

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こんにちは
コメント水聖 | URL | 2010-04-14-Wed 17:44 [編集]
はじめまして水聖(みさと)と申します。
かわいいお話ですね、お気に入りになりました。
もう豆柴ちゃんがめちゃくちゃ可愛くて抱きしめたいです。
早く大樹くんとラブラブになれるといいですね、と、思っていたら強力なライバル登場。
わんこはお姫様に勝てるんでしょうか。続き待ってます。
Re: こんにちは
コメント遠野 | URL | 2010-04-14-Wed 20:52 [編集]
はじめまして、水聖さん。
コメントありがとうございます。

多分、豆柴を抱きしめると「ふしゃあああ!!」と
叫びながら大暴れすると思いますwww

でも、そうしたい気持ちはわかります。
豆柴は書いてて楽しいですね。たまに口調間違えますが。
逆に、ウッディーは掴めないです。掴みどころない奴なんでw

ストーリー展開は遅いと思いますが、
気長に付き合っていただけると嬉しいです。
No title
コメントリュ~ク | URL | 2010-06-20-Sun 00:15 [編集]
なんでしょう、この二人
姫宮さんと宇藤くん
なぜ恥ずかしげもなくこんな台詞を//
いえ、自分が言えないからってひがんでるわけじゃないですよw


てか、主人公
羨ましいわw
Re: No title
コメント遠野秀一 | URL | 2010-06-20-Sun 00:24 [編集]
リュ~クさん、コメントありがとうございます。

えぇ、本当に何なんでしょうね、この二人はw
この二人の絡みは恥ずかしくて仕方ないです。
でも、大きな樹の下で、はそんな話です。

AF1はもっと偉いことになってます、この二人w
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