作家志望の不定期ブログです。
無色の翼、鳥は何処に向かうのか?
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大きな樹の下で AF3「秋空に想いを馳せて(後編)」
2010-11-06-Sat  CATEGORY: Another Future
秋企画もいよいよ最終日ですねー。
素晴らしい企画を発案してくださった
神楽崎さんに感謝です。

という訳、いつもみたいに
長々と御託並べてる場合じゃないです。
小説の方へどうぞw

・大きな樹の下で
・大きな樹の下で AF3「秋空に想いを馳せて(前編)」
・大きな樹の下で AF3「秋空に想いを馳せて(中編)」



大きな樹の下で -Another Future-
AF3「秋空に想いを馳せて(後編)」


その日、珠樹は登校前に鏡の前で髪を結ってみた。
小豆と同じポニーテールにしてみた。

そして、自己嫌悪に陥った。

明朗闊達で元気いっぱいな小豆にはよく似合う髪形だったが、自分には全く似合わない。そう落胆した珠樹は、結っていた髪をほどいて大きな溜め息を吐いた。実際はとても魅力的なポニーテールだったのだが、本人的にはどうしても納得がいかなかった。

結局、珠樹はいつもと同じ髪型のまま家を出た。


晩秋の冷え込みが身に染みる。珠樹は予想以上の寒さに震えた。ここ数年の秋はあまりに短く、一気に冬へと移行しようとしていた。もう少し防寒対策をするべきだったと後悔した。

珠樹は秋色に染まった道を歩いていく。
観賞用の樹木としての人気の金木犀の時期はすでに終わってしまったが、銀杏や紅葉といった秋の代名詞とも言える木々は今が主役だった。赤や黄色に染まった街路樹を見ているだけで気分も高揚するが、同時に切なげな想いも込み上げてくる。

カラフルながらも、どこか物憂げな色彩を見せる不思議な秋色。
何故、秋色はこれほどたくさんの想いを感じさせるのだろう。珠樹は色付いた街路樹を見上げながら、そんなことを想った。

そして、前方不注意で電柱と正面衝突をする。

「い、痛い……」

電柱とぶつけた額を擦り、珠樹は急いでその場を後にしようとした。
しかしながら、彼女が待ち合わせ場所はその電柱のすぐ側だった。本当は醜態をさらしたこの場所から立ち去りたかったのだが、ここで待っていなければ大樹達が困ってしまうだろう。

珠樹は恥ずかしながらも、その電柱に身体を預けた。

「はぁ……」

秋特有の連なる雲がなびく青空を見上げながら大樹達の到着を待った。
空を見上げていたことに大きな理由はなかった。ただ、何となく秋色に染まる街路を見ていたくなかった。

この道を見ていれば、いずれ大樹と小豆が仲良く一緒に歩いているところを見てしまうから。

だから、空を見上げるしかなかった。

いつからだろうか。大樹と小豆が一緒にいるところをみると胸が苦しくなっていた。嫌な気持ちが零れたインクのようにじわりと広がっていき、そんな自分の醜さが酷く嫌だった。

今朝も小豆の真似をしてポニーテールにしてしまった。しかし、そんなことをしても小豆のようになれる訳ではない。小豆のように大樹の側にいられる訳ではない。意味のない真似をしている自分に嫌気が差して、思わず泣きたくなった。


「大樹君……、私は……」


一秒でも早く大樹に逢いたくて……。
でも、小豆と一緒にいる姿を見るのは辛くて……。

珠樹は自分の中に芽生えた気持ちの変化に気付こうとしていた。その想いがどんな字で描かれるものか知ろうとしていた。しかし、その想いに気付いたとしても、初心な少女は胸を焦がす以外に成す術もなかった。


「大樹君……」


少女は秋空を見上げながら、想い人の名を呟く。
微かな呟きは空に消えていくが、珠樹の胸に宿る想いは決して消えることはなかった。むしろ、呟くほどに想いは強くなっていく。

貴方の側にいたい……。
ただ、それだけでいい……。

木枯らしに身を震わせながら、愛しい人の温もりを欲する。たとえ、触れ合うことが出来なくても、ただ側にいてくれるだけで胸が温かくなる。ずっと側にいてほしい、ただそれだけを想う。


「早く、逢いたいよ……」
「珠樹!!」

「えっ……? ふぇぇぇ!? た、たたた……、大樹君!?」

「はぁ、はぁ……。何だか久し振りにテンパってる珠樹を見た気がする。あ~、いや、別に久し振りでもないか」


ずっと空を見上げていた珠樹は、走ってきた大樹に気付かなかった。
いきなり目の前に大樹の顔があって、珠樹は胸のドキドキが止まらなかった。この胸の高鳴りがあまりに大きくて、彼に聞こえてしまわないかと不安になった。


「た、大樹君、どうして息を切らしてるの? あっ、それに、小豆ちゃんもいないし……」

「あっ……、えっと、小豆は昨日両親が帰ってきて今は実家。何だか騒ぎになってたから巻き込まれる前から逃げてきた。多分、今頃おばさんに家を叩き出されている頃かな?」


大樹は苦笑しながら言った。
小豆の母親は、娘以上にアグレッシブな性格なので、比喩的な意味ではなく字面どおりの意味で叩き出されているだろう。しかし、そこまで説明すると珠樹が心配してしまうので、大樹は曖昧に笑って誤魔化した。

珠樹は小豆がいないことを知って、少し戸惑っていた。大樹の隣には小豆がいるのが当たり前だったから、彼女がいないことに驚きを隠せなかった。

しかし、それ以上に大樹と二人きりという事実が珠樹の心を惑わせていた。


「え……、えっ? じゃあ、今日は二人きり、なの……?」
「う、うん……」


改めて二人きりということを意識すると、大樹も珠樹も恥ずかしくて赤面してしまった。しかし、お互い真っ赤な顔になりながらも、二人の視線はまるで絡み合ったように離れなかった。

お互いに一秒でも早く逢いたいと思っていながらも、実際に二人きりになってしまうと、どうしていいのかわからなかった。いつも一緒にいる友人達がいないと、途端に言葉を失ってしまった。

ただ、言葉はなくても二人でいられることは幸せだった。
言葉などなくても、見つめ合うだけで気持ちは通じ合うようだった。


「……さっき走ってきたのは、珠樹に早く逢いたかったからだよ」


走っている間に考えていた言い訳は、珠樹の目の前に立った瞬間に吹き飛んでいた。気付けば、大樹は想いの丈をそのまま口にしていた。言葉にしてから自分の失敗に気付くが、もう彼の言葉は珠樹にまで届いてしまった。


「えっ……? ど、どうして……?」


顔を赤らめる珠樹。
その姿が愛おしくて、抱きしめたいと思った。

一秒でも早く彼女に逢いたかったのは、この気持ちを伝えたかったからかもしれない。この想いに気付いた時から願いは一つだったのかもしれない。


「珠樹と少しでも長く一緒にいたかったから……」


今の大樹が言えるせいいっぱいの想い。
もっと伝えたい言葉はたくさんあるが、今はこれだけを伝えられただけで充分だった。


「大樹君……、嬉しいよ……。私も大樹君ともっと一緒にいたいから、そう言ってくれて凄く嬉しい」


珠樹は赤らめた頬で満面の笑みを浮かべ、大樹も照れくさそうに頬を掻きながら優しげな笑顔を返した。今はお互いの笑顔を見られるだけで充分だった。いや、それ以上に求めるものなどあるだろうか。

好きな人の笑顔があるだけで、こんなにも心は満たされる。

二人は自分の中にある気持ちを完全に理解した。

この気持ちこそが恋なのだ。



「……学校、行こうか?」
「うん……」



永遠に見つめ合っていたい気持ちを抑え、大樹と珠樹は秋色に染まる道を一緒に歩き出した。

いつもより少しだけ寄り添いながら。
いつもより少しだけでゆっくりとした歩調で。

今日が寒くてよかった、と二人は密かに思う。何故なら、寄り添う理由になるから。あと少しで触れ合えそうな距離。手が擦れ合いそうになり、そのたびにドキドキする。

もっと近付きたい。
君と手を繋ぎたい。

だけど、まだ手を触れ合わせるには、まだ秋の季節は少し温かかった。かじかむくらいに寒ければ、その手を取ることが出来ただろうか。もっと寒ければ、もっと寄り添うことが出来ただろうか。

秋空の下、二人はそんなことを想いながら歩いていく。
間もなく冬は訪れる。その時、二人の距離はもっと近付くだろうか。





The End of Another Future Story




あとがき

この間、リアルで久々にポニテを見たんですよ。
いや、それだけですがw

ポニテいいなー、と。

そんなポニテ愛のせいで、
シリアス部分に不必要なポニテ擁護の文章が入っている
……なんて裏事情があったりなかったりwww
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コメント

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No title
コメント水聖 | URL | 2010-11-09-Tue 01:02 [編集]
このシリーズを読むたびに「本編ではどっちとくっつくんだろう」ということが気になって仕方がないです。
タマヒメさんともお似合いだなあ。
でも小豆ちゃんも好きだし。大樹くんをふたつに割るわけにいかないのがつらいところですね。
作者さんとしてはどっちか決めてるんでしょうか?
Re: No title
コメント遠野秀一 | URL | 2010-11-09-Tue 20:07 [編集]
水聖さん、コメントありがとうございます。

まぁ、どっちか決めてはいますが……、
今後の話なので秘密ですw
でも、AFが誰のために作ったかって考えれば……。
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