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無色の翼、鳥は何処に向かうのか?
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大きな樹の下で AF3「秋空に想いを馳せて(前編)」
2010-11-02-Tue  CATEGORY: Another Future
……超久し振りに「大きな樹の下で」更新ですww
しかも、本編ではなくAFの方を。
あと、秋を舞台にして、おこがましくも秋企画に献上……。

はい、すみません!

それと、今回はいつものノリとは違います。
私の中で「大きな樹の下で」でギャグ比率が高いんですがw
今回は真面目に…………。

まぁ、続きは本編で。

・大きな樹の下で



大きな樹の下で -Another Future-
AF3「秋空に想いを馳せて(前編)」


幻想的なピアノの旋律が不意に消え去った。
天使の演奏を奏でる美しい指先が静かに止まったのだ。
神秘のメロディは秋の冷たい空気に溶け、斜陽が差し込む音楽室は静寂に満ちていく。音楽室は木枯らしに揺らされる窓が小さな音を立てる以外、全ての音が消え去ってしまった。


ピアノの前に座る少女は演奏を止めたまま微動だにしなかった。まるで時が凍り付き、そのまま美しい彫刻と化してしまったようだった。

しかし、凍った時間はやがて溶ける。
夕日の赤に染められた音楽室に白い吐息が漏れた。吐息と共に発せられた少女の声はどこか悲しげだった。それは孤独を憂える嘆きに聞こえた。焦がれる想いに胸を締め付けられる苦痛の悲鳴にも聞こえた。

そう感じさせるのは、少女の悲しげな表情だった。

少女は演奏を再開しようと少しだけ指を浮かすが、それでも振り下ろされた指は鍵盤に音色を奏でさせなかった。

鍵盤に触れるだけでは音色は響かない。ピアノという楽器に音を鳴らすには、強く鍵盤を押しこむ必要があるのだ。触れるだけでは音は出ない。望む音を出したいなら、その指を強くはじく必要がある。だから、ピアノをひくという字とはじくという字は同じなのだろう。

少女は結局それ以上ピアノを弾くことが出来なかった。
代わりに少女の口から短い言葉が紡がれた。

「……大樹君……」

少女、姫宮珠樹の口から零れるのは一人の少年の名だった。
彼女にとって初めて出来た男性の友人だったが、今彼女が彼に対して向ける想いは友情ではなくなっていた。

それはおそらく言葉にすると、恋と読むのだろう。

しかし、珠樹はまだ自分の胸に芽生え始めた新しい想いがどんな言葉なのか気付いていない。彼女はまだその想いが友情と書いてあると信じていた。自分の想いの変化には気付きつつも、その想いがどんな字で描かれているかはわからなかった。

気付かない。
気付けない。

少女はまだ本当の意味で恋という言葉を知らない。
だから、自分の想いがどんな言葉で記されるものか気付けない。


「大樹君……、大樹君……」


先程の呟きは無意識だった。
しかし、今度の呟きは明確な意思を持って彼の名を呼んだ。
彼の名前を呼ぶと、胸を焦がすような痛みが少しだけ引くのだ。だから、何度も珠樹は彼の名前を呟いた。



「大樹君……、大樹君……、大樹君…………」



彼の名前を呼ぶだけで痛みは引いていく。しかし、痛みの代わりに堪らない想いが募っていく。大好きなピアノの前にいても演奏は出来ず、珠樹の心はただ大樹のことだけで満たされていく。

これまでの珠樹だったら、ピアノの前で他のことを考えることなど絶対になかった。一度鍵盤を叩けば、姫宮珠樹という存在はピアノと一体化できた。ピアノと一つになることは珠樹にとって当たり前のことで、それが出来なくなるなんて考えたこともなかった。

心に芽生えた淡い想いが彼女の演奏の邪魔をする。










To be continued...




あとがき

AFシリーズはやっぱりタマが主役。
っていうか、タマのために始まったのがAF。

あと、キャラの心情描写の入った三人称で書いてみました。
それと、いつもは馬鹿みたいに長い話ばかりなので
短く区切ってみました。

別に全部一気に掲載してもよかったんですが、
今回の話はゆっくり噛みしめながら読んでほしいなー、と
思って三部構成してみました。
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