作家志望の不定期ブログです。
無色の翼、鳥は何処に向かうのか?
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【秋企画】 赤き地獄の相思華
2010-09-09-Thu  CATEGORY: 詩 & 短編小説
秋ですねー。
……暦の上では。
まだまだ暑い日が続きますが、
もう少しすれば涼しくなってくれる……はず?

この度は
いつもお世話になっている
コミュニティ「物語は素晴らしい!」の企画、
【秋企画】 Autumn Story 【お題物語】に参加しました。

詳細は↓にトピック抜粋があります。
興味のある方は是非、とのことなので
ガンガン飛び入りしてくださいw



【秋企画】 Autumn Story 【お題物語】

秋といえば「読書の秋」───そう、「物語の秋」!!!

ということで、管理人主催でコミュニティ初の
【企画物語】(お題小説)をやろうと思います♪



● テーマ ●
 「  秋  」

※「秋」にちなんだ作品を書いてください。
ex)ひと夏の男女の恋のその後ストーリー・・・
  十五夜の日、見上げた月から突然少年が振ってきて・・・
  枯葉舞い散る中での敵との死闘シーン・・・
etc・・・・・・
(管理人はこんなのしか思い浮かびませんでしたが^^;)


● 募集期間 ●
9月6日 ~ 11月6日 (立冬前まで)

立秋からには間に合いませんでした(汗)が、
暦上冬が始まる7日前までの募集期間とさせていただきます。


● 対象作品 ●
「秋」が入っている作品
・小説 (1話完結、連作もの)
・詩
・短歌・俳句
・歌詞

※「第2章」「5話」など連載しているものの途中1話だけでも構いません。
※期間中に執筆した作品が望ましいですが、1年前までに載せた作品なら対象内とします。
※ひとり何作品あげてもOK!


● 書き込み事項 ●
・作品タイトル
・http:// (作品をUPしたURL)
・(他、あらすじやコメントなどあれば)


● 備考 ●
“「秋」っぽい作品”の判断基準は、あくまで執筆者の思いにゆだねます。
「秋」っぽいところがたった一文でも構いません。
自分のブログ(物語)を読んでもらう機会として、どしどし参加(書き込み)してください。

6日が過ぎた後は、管理人が投稿作品をタイトル名順にまとめようと思います!



自身、初めてお題を出すことになりましたので
至らない部分、わからない部分も出てくると思います。

何か質問、意見ありましたら管理人にメッセージをお願いします。



たくさんの参加・・・切実に待ってます!!!!



個人的に秋には死のイメージがあります。
じい様とばあ様が亡くなった季節だからかもしれないですね。

そんな訳で内容はちょっと暗めです。
っていうか、タイトルが物騒ですよね?
まぁ、別に怖い話ではない……です。



赤き地獄の相思華

君が俺の隣から永遠に去ったのは、木々が色付き始めた頃だった。
あの別離から二年の月日が経ち、季節はまた秋へと移ろうとしていた。
俺が君と過ごした思い出を忘れることは永遠にないだろう。

君との出会いは、やはり秋だった。
初秋に出会い、晩秋に別れる。それが俺達の運命だった。

あの日のことは今でも鮮明に思い出せる。
残暑は残っていたが、空は秋色に染まった日だった。
夏を終えた遥かな蒼穹は高く澄み渡っていた。白雲は果てしなき蒼を自由に泳ぐ魚群のように連なり、浮かんでは消えていった。

川沿いの道をささやかに彩る彼岸花。
その中の一輪だけが手折れていた。
彼女は途方に暮れた様子でその手折れた彼岸花を見つめていた。

何故かその様子が気になり、声を掛けたのが出会いだった。

手折れた花を嘆き、慈しみ、涙さえ浮かべる少し変わった少女との出会いが俺の運命を変えた。

それから同じ場所で何度も出会い、俺達は交流を重ねていった。彼女の独特の感性は理解できなかったが、それでも俺は自然と彼女に惹かれていた。

誰かを好きになるのに理由なんていらない。
いつしか、彼岸花を愛でる不思議な少女は俺の中で特別になった。
そして、紅葉した木々が枯れ始める季節には共にいるのが当たり前になっていた。

好きだ、とも。
愛している、とも。

そんな背筋を掻き毟りたくなる愛の言葉を語ったことはなかった。俺にはそれを口にする資格などなかったのだから。ただ一度さえ口に出来なかったことは今も後悔している。

もし、俺がその言葉を言えたのなら運命は変わっていただろうか。
いや、それだけは絶対になかっただろう。俺と君は絶対に結ばれないと運命に決定づけられていたのだから。



だが、それでも一つだけ確実に言えることがある。
俺は今でも瀬名真紀を愛している……。




















「……名! 瀬名! 聞いているのか、瀬名!」
「えっ? は、はい!」

教師の呼び声に、遥か彼方へと夢想していた意識が覚醒した。
それまで思い浮かべていた忘れられぬ過去の幻影は、教師の不躾な言葉の針によって泡沫のように弾けて消えた。

一瞬そのことに対して怒りが湧くが、私より更に不機嫌そうな教師の顔を見て、怒りもまた綺麗に弾け飛んだ。

「瀬名、この問題を解い……」
「無理です」

断言した。この上なくキッパリと。
というか、授業を聞いていたとしても解ける気はしない。
教師のこめかみに青筋が立ったのがよく見える。大分ご立腹のようだが、仕方がないことだ。出来なことは出来ない。

「……教室か廊下、選ばせてやろう」
「それは私が立たされる場所、ですか……?」

「そうだ。どっちがいい?」
「じゃあ、廊下で。昨今の教育現場ではなかなか見られないことですし、一度くらいは体験してみたいので」

「じゃあ、行って来い」

教室を追い出された私は、近年では漫画ですら見なくなった「廊下に立たされる」という罰を実体験する。別に楽しい気分にはならない。

背後の教室では授業が再開され、眠気を誘う教師の講釈が聞こえてきた。せっかく廊下に立たされるという貴重な体験をしているのだから、眠くなる教師の話など聞き流すに限る。

窓の向こうは紅葉した木々が静かに揺れていた。
巻雲の広がる青空はどこに繋がっているのだろう。



……私は秋が嫌いだ。

彼と出会い、彼と別れた季節だからだ。

だから、大嫌いで……、大好きな季節だった。



胸を焦がす思いを抱いたまま過ごす二年の年月は、真綿で首を絞めるような長く苦しい月日だった。

別れを受け入れられなければ、その悲しみは永遠に続く。

時は悲しみを薄れさせはしない。悲しみと後悔だけ音もたてずに積み重なっていき、気付いた時にはもう支えきれないほどに巨大な重石となっていた。前へ進むことも、後ろに下がることも出来ず、ただその場で苦痛に喘ぎながら動けなくなった。

ただ一つの言葉が欲しかった。

だけど、私にはそれを望むことは許されず、ただただ待ち続けるしかなかった。それは一輪の花が枯れることを期待し、新しき花が芽生えるのを待つようなことだった。

それは許されざる願いだった。

想うことは罪なのだ……。
願うことは罰なのだ……。

気まぐれな悪魔が私の願いを聞き遂げなければ、もしかしたら今もあの日々が続いていたかもしれない。だけど、そこに私の幸せないだろう。きっと永遠の拷問が私を苛み続けたはずだ。

幻想を抱くことさえ許されない私は、ただの生ける屍なのかもしれない。私の心もあの別離の日に死んでしまったのかもしれない。



だけど、それでも一つだけ確実に言えることがある。
私は今でも深崎誠二を愛している……。






















想い出の川沿いの道を歩いていく。
再会を期待している訳ではない。彼女がここへ訪れることは永遠にない。だから、ここにいるのは俺自身の感傷だった。

紅葉が始まる頃には、すでに彼岸花の時期は終わっている。濃緑の葉だけとなった彼岸花は静かに眠っている。

花を期待していた訳ではないが、やはり一抹の寂しさが胸に去来する。

一歩一歩想い出を確かめるように畦道を歩いていく。
この彼岸花の道を一緒に歩いたのは、彼女だけではなかった。学び舎を共にした兄弟や友人達とも歩いた道だった。

数多の想い出が打ち寄せる波のように押し寄せてきては、また記憶の海に引き返していく。その繰り返しの中でも、やはり一番大きな波となるのは彼女との想い出だった。

……きっと許されざる恋だった。

恋することは苦痛だった……。
愛することは拷問だった……。

運命の天使は俺を許さなかったのだろう。だから、俺から大事な者を全て奪い、この生き地獄の中で苦しみ続けろと命じた。あの日に受けた罰をどう償えばいいのか今も悩み続けていた。


「あれっ? 深崎? どうしてこんなところに?」
「……んっ? あぁ、久し振りだな」


数年来の友人と鉢合わせし、軽く挨拶を交わした。
特別に親しい間柄だった訳ではないが、決して短くない月日を共にした友人だった。学校が別になってから連絡を取り合う回数は減り、いつしか会うこともなくなった間柄だ。


「中学を卒業して以来か? 懐かしいな」
「そうだな。そっちは元気か?」

「おうよ。今は大学中退して小さな劇団に入ったんだ。役者目指して夢を追いかける日々だよ」

「役者? ……そういや、文化祭の時に劇をやろうって言い出してたな、お前。結局、女子共に押し切られて喫茶店になったけど」

「ははは、懐かしいな。お前等と瀬名達だけだったな、票を入れてくれたのは。実はあの頃からの夢だったんだよ。恥ずかしくて言えなかったけどな。だけど、今はもう胸張って言えるぜ」


彼女の名を聞いて、一瞬心が痛んだ。
中学までの俺達しか知らない友人なのだから、あの事を知らなくても仕方はない。知らせなかったのは俺自身だ。


「そうか、頑張れよ」
「おぅ。じゃあ、俺は練習あるから。気が向いたら一度見に来いよ」

「あぁ……、じゃあな」


適当な相槌を打ち、友人が去っていく姿を見送った。
彼とまた会うことはないだろう。そのことに対しては特に何の感慨も湧かなかった。ただ、それだけの縁だった。

おそらく向こうも俺とまた会えることを期待はしていないだろう。お互い、それほどの関係でもなかった。

別れの悲しみは、その人物との絆がいかに深く繋がれたかによる。

人は幾つもの絆を繋いで生きている。
大切な絆に引っ張られて、誰もが高みを目指して進もうとしている。
切れた絆がか細い物なら些細な揺れで済むだろう。だがもし、支えとしている絆が断ち切られたとしたら、他の全ての糸に関係なく落ちて行くだろう。

俺にとって今の友人は、か細い糸だ。
君は俺の全ての支えだった。

去っていく友人の背中を見送り、俺はまた畦道を進んでいった。初秋の鮮やかさはない道だ。想い出をなぞりながら進む。

そして、見つける……。

ただ一輪、時期外れに咲く彼岸花を……。

それは皮肉にも、かつて俺達が出会った場所。君が途方に暮れて手折れた彼岸花を見つめていた場所だった。

俺は一輪の彼岸花の前に膝を突き、すっと赤き花弁に触れた。


「どうして、俺は言えなかったんだろうな……?」


決まっている、それは君との唯一の絆に鋏を入れるのと同じだったからだ。

言ったとしても後悔は残った。
だけど、今俺を苦しめているのは言わなかったことに対する後悔だった。失うことを恐れて言わなかったのに、結局は失ってしまった。

葉は花を想い、花は葉を想う。

決して花と葉が同時に出ることがないから、韓国では彼岸花や夏水仙などを相思華と呼ぶそうだ。決して共になれぬというのに、互いに想いあうとは皮肉な話だ。

共になれないからこそ想い合う……。

あまりに愚かしい話だ。
俺は静かに拳を握りしめ、手の中にある赤い地獄花を押し潰した。


「生きている間には結ばれない。そんな馬鹿な話があって溜まるか」


俺は決心した。
もう一度会って、その言葉を告げよう。

逢えなくなったからこそ募る想いは、生き地獄の拷問に過ぎない。いつまで地獄で這いずり回らなければいけないのか。

俺も君も充分過ぎるほどに苦しみ。これ以上の苦しみはいずれ必ず俺達を殺すだろう。

だから、終わらせよう……。
今度こそ、この言葉と共に。


「行こう……」


握った拳を開き、俺は川沿いの道を引き返していく。

一度は潰されかけた輪生の花は力強く咲き誇る。ただただ自らが想いを募らせる葉と巡り会うために。それが届かぬ想いと知りつつ、それでも健気に咲き続けた。




















「……久し振りだな、瀬名」
「ふ、深崎……」

それはあまりに唐突な再会だった。
だから、一瞬これは私の妄想を映した白昼夢だと思った。しかし、よく考えてみれば、私も彼もこの場所に訪れるのは必然だった。

この日、この場所へ訪れることは必然。
だが、再会することは偶然。

私は今、どんな表情をしているのだろうか。
わからない。多分、喜びも悲しみも怒りも全部混ぜこぜになっているからだ。きっと酷い顔をしているはずだ。

また会えたことは嬉しい。
だけど、チクリと胸を突き刺すのは、あの苦々しい別離を思い出してしまうからだ。


「待っていた、君を……」
「どうして……?」

「もう一度逢わなければいけないと思ったからだ」
「わ、私はそうは思わない……」

「……なら、それでもいいさ。もう逢ってしまったんだからな。ぼさっとしてないで行くぞ」


深崎は私の返事など聞かずに先へ進み出した。
私は彼の背中を負うことに抵抗を覚えたが、それでも引き返すという選択肢はなかった。だから、少し離れて深崎の後ろを歩いた。


紅葉した木々が風に揺らされ、無粋な木枯らしにさえ落ち葉の色彩に染まっていく。私達が進む道は、色鮮やかな落ち葉のビロードが敷かれていた。

再会した私達は無言でその道を歩いて行った。風に揺れる葉が奏でる晩秋のメロディーだけが静寂を払ってくれた。

道は終わり、最後の石段を上っていく。

辿り着いたその場所は、静寂に満ちていた。全ての者が平等に、ただ安らかに眠ることを許された場所。静謐な雰囲気に包まれたその場所では、私達の足音さえ無粋と思える。だから、誰の眠りも妨げないように静かに進んでいった。


「……着いたな」
「うん……」


隣り合う石柱の前まで辿り着いた俺達は静かに頷き合った。

右の石柱にはこう記されていた。深崎家之墓、と。
左の石柱にはこう記されていた。瀬名家之墓、と。


ここは死者が眠る場所……。
深崎誠二と瀬名真紀が眠る場所だった……。




















あの日、共に語った呪いの言葉を思い出す。
愛の言葉を紡ぐより、ただ運命を呪う方がずっと楽だった。破滅を願うことだけが俺達の希望だった。

そして、それは最悪の形で実現してしまった。

願うだけが罪になるはずがないと識者はしたり顔で言うだろう。だが、その有り得ざる現実を目の当たりにした俺達にとって、罪以外の何物でもないのだ。その罪の重さは俺達にしかわからない。

俺達はきっと許されない罪を犯した。
そして、その罪に今も縛られ、苦しみ続けていた。


「覚えているか、瀬名? 俺はお前の姉さんに惚れて、お前は兄貴に惚れていた……。だから、願った……」

「えぇ、共に願ったね……」


報われない恋だった。
俺が愛した瀬名真紀は、深崎誠二を愛していた。
瀬名が愛した深崎誠二は、瀬名真紀を愛していた。

俺と瀬名は共に報われない者同士で二人の破局を願った。いや、呪ったのだ。そして、晩秋のある日に交通事故という形で俺達の呪いは実現してしまった。


「願ったことは俺達の罪だ……。だけど、もういいんじゃないか?」
「……何が? 何がもういいの!?」

「俺は瀬名真紀が好きだった。お前は深崎誠二が好きだった。そして、二人の破局を願い、それは実現してしまった。それに対して俺達はもう充分過ぎるほどに苦しんだ」

「だから、もういいって……? そんなこと許される訳ないじゃない!! 私達のせいで……、私達のせいで姉さん達は死んだのよ!!」

「……そうかもしれない。多分、俺達以外の誰かはきっとそう言うだろうな。だけど、俺は違う。兄貴達が死んだのは俺達のせいだ。俺達が願ったから死んだんだ……」


俺は、俺達の罪を否定しない。
誰がどんな綺麗事で言い繕おうとも、あの二人の死は俺達が願った物だと断言しよう。

罪を決めるのは自分自身だ。
罰を望むのも自分自身だ。

誰が罪でないと言ったとしても、自分自身がそれを許せなければ罪になるのだ。誰かに理解される必要などない。この胸の痛みは、同じ痛みを知る俺達以外は共有できない。


「だったら!!」

「だからこそ!! 俺はもう一人は嫌なんだ……」


願いが叶ってしまったあの日から俺達は二度と逢うことはなくなった。罪を犯した俺達が逢えるはずもなかった。

あの別れから二年の月日が経った。
季節が二巡りして、ようやくもう一つの気持ちに気付けた。
いや、本当はずっと前から気付いていたのに、ただ気付かない振りをしていただけかもしれない。

罪を犯す前は、ただ繋がりを断ち切りたくなくて。
罪を犯した後は、自らを罰するために。


「一緒に償おう、瀬名……」
「だ、駄目!! そんなのは絶対に駄目!!」

「どうしてだ? 俺達の罪は同じだ。なら、一緒に償うことを何故拒むんだ?」

「それは……、だって……」


瀬名は言い淀み、後退りしていく。
だけど、俺は瀬名を離さない。絶対に逃がさない。
震える彼女の手を掴み、強引に抱き寄せた。


「……ふ、深崎ッ!? んん……!?」


うるさく騒ぎ出す前に瀬名の口を塞いでやる。
……女の口の塞ぎ方なんて一つしかない。


「俺達は確かに罪を犯した! それを償うのは当然だ! ……だけど、いつの日かそれを許しあえる日が来たっていいはずだ! それが今とは言わない! だけど、いつかだ! ……いつかきっと訪れる!! そして、俺達の罪を許せるのは俺達だけだ!!」

「駄目……、駄目だよ……。深崎と一緒にいたら、それは罪の償いにならない……。貴方と一緒にいたら、私は……」


もう一度黙らせる。
その口が抵抗をするのなら、何度だって黙らせる。
この温もりに罪悪感を覚えるということは、まだ俺達の贖罪が終わっていないということだ。


「……俺は罪を償って、伝えたい言葉があるんだ」
「伝えたい言葉……?」

「そうだ。今度こそ伝えたい。俺もお前もただ呪うことしか出来なかったけど、今度はもっと別の願い事をしよう。罪も罰もない、苦痛も拷問もない、ただ幸せな願いを……」

「私達にそんな資格なんてない……」


今はそうだ……。
そんな幸せな願いをする資格なんてない。
こうして互いの温もりに触れるだけで傷付いている。


「……だけど、俺はその資格が欲しい。その資格を得るために君と一緒に償いたい」

「得られるのかな、そんな資格……?」
「得られると信じたい……。君と一緒なら信じられる……」

「……私も信じたい。信じたいよ……。だけど、だけど……、お姉ちゃんや誠二にどんな顔をすればいいのかわからないんだよ……」


泣き崩れる瀬名を強く抱き締める。
罪悪感という針が胸を突き刺していくが、それでも構わずに力強く抱き締める。寒さに震えるハリネズミは痛みを知りつつも寄り添うように、俺達も強く求めあった。

それが今は、痛みであっても……。
いつか、幸せに変えよう……。


「……俺だって兄貴達にどの面下げればいいのかわからないさ。きっと兄貴達は俺を呪うかもしれないな。兄貴達にはその資格がある。……だけど、それでも……、俺はもう伝えずにいられるのは嫌なんだ」


瀬名真紀には告げられなかった想い。
それは今もまだ俺の胸の中に残っている。

だけど、だからこそ俺の胸を恋の業火で焦がすのだろう。未だに捨てられない愛があり、それ故に呪ったことが許せない。

その全てに決着がつけられたのなら、今度こそ罪を犯さずに伝えよう。誰も不幸にならない愛の物語を紡ぎたい。


「……うん。いつか伝えて……」
「あぁ……」


俺達は共に振り返り、愛した人達が眠る墓標を見つめた。
一瞬だけ、兄貴達の姿が見えた気がした。

……笑っていた。

いや、それはきっと幻想だ。
少なくても今は幻想でいい。俺達はまだ許されようなんて思っていない。この罪を許せる日は俺達自身で決める。

だから、兄貴達は俺達を恨んでいろよ……。
だけど、怨むなら俺だけにしろよ……。

俺はいつか瀬名が自分の罪を許せるように思えるまで、彼女の側に居続けるつもりだ。瀬名の笑顔を取り戻してやることが俺の贖罪だから。


「……帰るか?」
「うん……」


俺達は寄り添いながら歩き出した。
この痛みがいつか愛に変わる日を信じて。









あとがき

秋企画の作品、いかがだったでしょうか?
季節感をイメージして書くことは少ないので、
秋を感じられたかどうかってのは気になったりwww
秋っぽいですか……?

秋⇒もみじ⇒ほっぺ

というギャグパターンでもよかったんですがw
それだと秋イメージにならないかと思って、
ちょっと暗めな感じになってしまいました。

実は大学時代に書いた短編の秋リメイクだったりします。

出てる名前は同じ。
内容は……、まぁ大筋では似通ってる感じ?
元の短編の方では、誠二が生きてて主人公。
死んだのは真紀だけってことになってました。

……元の短編?

あぁ、それは大学の文芸部のHPにあります。
今見ると大分アレなのでここでは公開しませんw

では最後に、
素敵な秋企画の発起人、神楽崎ゆうさんに感謝!!
ありがとうございました(=^・^=)

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コメント

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No title
コメント残り粕 | URL | 2010-09-09-Thu 20:51 [編集]
秋風の たなびく雲の 絶え間より もれいづる月の 影のさやけさ~

見たいな感じですよね、分かります。
意味は分かりません。

俺もなにか考えてみようかな。
短歌をw

初心者根性みせてやる!
Re: No title
コメント遠野秀一 | URL | 2010-09-09-Thu 21:39 [編集]
残り粕さん、コメントありがとうございます。

百人一首ですね、わからなかったのでググりましたw
短歌は解釈とか難しいのでサッパリですねw

っていうか、五七五と比べて作るの大変ですよね。
がんばってくださいw
No title
コメント神楽崎 ゆう | URL | 2010-09-09-Thu 23:43 [編集]
秋企画のご参加ありがとうございます!
それに企画概要も載せて頂いて・・・嬉しいです^^

すごく・・・悲しくもあるし赤の美しい背景が見えるようでもありました。
始めは2人に何があったんだろう...と読み進めましたが...
そうか、こんな秋もあるんだなぁ~としみじみ物語に考えさせられました。
たしかに秋って枯れゆく季節ですものね・・・!
自分は春とか秋の空気の匂いとかにワクワクさせられるので、最初に悲しい物語が思い浮かばなかったデスw
(でも面白いことに「かなしい」って悲や哀の漢字以外にも古語で「愛しい」と書いて“かなしい”と読むんですよね!意味は全然違えどビックリです)


物語はタイトル通り(地獄どおりw)のものでしたが
“秋”として楽しませていただきました(o^-^o)
Re: No title
コメント遠野秀一 | URL | 2010-09-09-Thu 23:59 [編集]
神楽崎さん、コメントありがとうございました。

こちらこそ素敵な企画を楽しませてもらいましたw
とりあえず秋を感じていただけたなら幸いです。
春と秋は確かに似ている季節なんですが、
個人的なイメージは真逆なんですよね。

そういえば、古語は確かに逆になってますね。歴史って不思議です。
No title
コメント水聖 | URL | 2010-09-10-Fri 01:24 [編集]
この話、今までで一番好きかもです。
切ないし、つらいですが、読後感は爽やかでした。
途中、何度も気持ちよく予想を裏切られ、爽快感というか、カタルシスを感じました、すごいです。
そして、深崎さんがものすごくかっこいいです。
絶対に私には書けないタイプです、尊敬します。
No title
コメントいき♂ | URL | 2010-09-10-Fri 13:01 [編集]
なんと申し上げましょうか。。。
すごすぎて、感想が書けずに、何度も文字を打ち込んでは書き直しています。

傷とか痛みとか、あるいはその先にあるものとかを、こんな風に表現できる遠野さんに脱帽です。
Re: No title
コメント遠野秀一 | URL | 2010-09-10-Fri 19:29 [編集]
水聖さん、コメントありがとうございます。

予想を裏切って「転」まで持っていくのが運ぶのが
ある種の目標だったので、達成できてよかったですww
尊敬とか言われると恥ずかしいです(>_<)
Re: No title
コメント遠野秀一 | URL | 2010-09-10-Fri 19:37 [編集]
いき♂さん、コメントありがとうございます。

そこまで言われると逆にこっちが恐縮です(>_<)
個人的に「秋」のイメージはちょっと物悲しい感じなんで、
まぁこんな感じに……w 恥ずかしいですw
No title
コメントまどるD | URL | 2010-09-11-Sat 20:55 [編集]
はじめまして、まどるDと申します。小説を読ませていただきましたが、寂しくもあり、強くもある作品だなと思いました。
秋というフレーズと共にこのような切ない話が組み合わされると威力倍増だ・・・・・・
Re: No title
コメント遠野秀一 | URL | 2010-09-11-Sat 21:06 [編集]
まどるDさん、コメントありがとうございます。

こちらでは初めまして。
雑談広場ではチラホラとお見受けしてましたがw
ご感想もありがとうございます。

企画のテーマの「秋」のイメージを感じられれば幸いですw
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