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無色の翼、鳥は何処に向かうのか?
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閑話 Crimson Flame
2010-07-23-Fri  CATEGORY: BF1 -血塗れの連鎖-
もうすぐBLACK FANGもクライマックスです。

七章ではマイラと美夜の激闘が……!?
そして、八章でついに死闘に決着が……!?

みたいな感じですよ、多分w

そういえば、閑話今までゆるーい感じが多かったんですが、
ゆるーいのは前回で終わり。あとは割と重い、緊迫感がある、
何かの伏線的な話ばかりになります。

っていうか、閑話もこれを含めて残り三つです。

・予告編
・序章 二月の別れ
・第一章 君が思い出に変わるまで(前編)
・第一章 君が思い出に変わるまで(後編)
・閑話 忘却のバレンタイン
・第二章 マイラ(前編)
・第二章 マイラ(後編)
・閑話 彼がネクタイを結ばない理由
・第三章 編入生と切り裂き魔(前編)
・第三章 編入生と切り裂き魔(後編)
・閑話 ワンコVSチビッコ その1
・第四章 二人の少女(前編)
・第四章 二人の少女(後編)
・閑話 Snow White
・第五章 エンヴィー
・閑話 ワンコVSチビッコ その2
・第六章 奪われた希望(前編)
・第六章 奪われた希望(後編)



BLACK FANG -血塗れの連鎖-
閑話 Crimson Flame


焔仁。

ウェアウルフの高い運動能力と、ファイア・ジーニアスの発火能力を持つ少年。ただし、どちらの能力もオリジナルと比べると見劣りする。彼の真価はそれぞれの能力の高さではなく、多様な能力を持つ汎用性と彼個人の暗殺者としての素質。全力で戦えば、ブラックァングを持つマイラと同等の戦闘能力を持っていた。

元々、彼の祖父母は共にイギリスに住んでいた。しかし、彼の祖母でありフェーリア家のウェアウルフが、ファイア・ジーニアスとはいえ、ただのホモ・サピエンス種と交わったことが問題となり、国外から追放されたのだ。それ以後、彼の一族は芝崎家の庇護下に置かれている。時に、芝崎家暗部の仕事も担わされている。

これが、マイラの知る限りの情報だった。

しかし、彼女が知らされている情報は、表向きのもののみ。経歴についてはマイラが知っているとおりであるが、実際に焔家(もっとも、現在は仁のみ)が担っている仕事のほとんどは芝崎家暗部のもの。マイラが知らぬところで、仁は芝崎家に仇なす者を暗殺してきた。組織の任務にもそうした後ろ暗い面はあるが、仁はマイラが想像している以上に深い闇の中にいた。実際、仁が初めて人を殺したのは、マイラがプライマリー・スクール(日本での小学校)に通う頃だった。

そして、芝崎家最大の重要機密であり、マイラにとっても一族の仇である存在。ブルー・ランタンは、本来焔仁のために作られた術式だった。

そもそも、Blue Lantern System(ブルー・ランタン・システム。以降BLSと表記)とは、祖父の代より劣化した発火能力を強化するための術式である。ただし、現在のところBLSは完成していない。二年前にマイラが遭遇したブルー・ランタンは、BLSの試作段階の術式が組み込まれただけの人間。ちなみに、試作術式を埋め込まれた少年は、カーティスとの戦いで相討ちとなり、死亡した。

BLSの仕組みは、人間を強制的に思念統合体と化す術式である。

思念統合体とは、一つの物的な器に二つ以上の精神体(魂、思念、魔力など)が統合もしくは共有した存在の総称。本来存在し得ない存在であるが、それ故に人知を超えた力を持つ場合が多い。ただし、その存在は不安定であり、死や魂の消滅の可能性が高かった。ましてや強制的に思念統合体と化すことは非常にリスクを伴う。

BLSは東洋と西洋の術式を組み合わせた特殊な術式であり、その術の構築には芝崎初音も関わっていた。故に、彼女もまたマイラの仇であったが、BLSの実験体の活動については初音も関知していなかった。当然、ウェアウルフ殲滅に関わったという自覚もなかった。初音は知らぬうちにフェーリア家虐殺に加担し、マイラは知らぬうちに仇をとっていたということになる。皮肉なことに、彼女達の深い因縁は互いに知らぬところでも繋がり、殺し合うことは必然だったのかもしれない。

思念統合体の性質上、BLSは危険な術式である。しかし、仁の立場上、BLSを拒むことはできない。

まるで芝崎の飼い犬だな……。

それが、誰にも言えない仁の心の内であった。BLSによって一族を虐殺されたマイラに相談することなどできない。慎に芝崎家の暗部を明かす訳にもいかない。それ以外の知り合いはほぼ芝崎家の関係者で、当然不満を口にできるはずがない。

唯一、仁が全てをぶつけられる人物は、敵である憂いの切り裂き魔だった。皮肉なことであるが、仁が全ての感情を爆発できるのは戦い以外になく、彼と互角に戦えるのは憂いの切り裂き魔以外にいなかった。二人は敵同士であるが、互いに通じるものがあり、正体が気付きつつも私生活では普通に接している。

ただし、それでも仁の心の奥にある不安は消えない。戦いでは、彼の心を癒すことはできない。しかし、そんな彼の心を癒す存在が現れた。初めて出会った時はただの小娘だと思っていたのに、いつしか仁は彼女に惹かれていた。


「……思念統合体、というのはどんな気分なんだ?」

「また聞き辛いことを聞きますねぇ」


仁が逢瀬美夜に興味を持ったのは、彼女が『思念統合体』だからだった。
美夜が自分自身の存在について知ったのはつい最近のことらしく、いろいろと悩みがあったのだろうと思い、仁にしては珍しく積極的に彼女に声をかけた。

「……頼む、逢瀬」

「う~ん、そこまで言われると困っちゃいます。でも、仕方ないですね。あんまり話したいことじゃないんですけど……」

美夜は自分が思念統合体と知る以前は、ごく普通の少女でしかなかった。だから、彼女が自分の存在に気付いた時のショックは大きかった。いつも笑顔で悩みなどなさそうに見えるが、彼女も辛い経験を重ねてきたのだ。

「……初めは、もちろん取り乱しましたよ。自分の中に、自分以外の存在がいる、そんな恐怖は実際に体験しないとわからないと思います。急に訳もなく、全身を掻き毟りたくなって……、いっそ狂ってしまえば楽だとさえ思いました……」

「……今も、そんな風に思う時はあるのか?」

「ないですよ、開き直っちゃいましたから。私の場合はすでに統合状態で安定しちゃってますし、死んじゃうような心配もないですから。それほど深刻な状態でもないので、心の持ちようで、不安はなくなりましたね」

とてつもなく前向きで楽観的な娘だ。
普通は彼女のように割り切ることはできないだろう。自分の存在が違うものに塗り替えられていく、そんな恐怖は彼女の言うとおり体験した者にしかわからないだろう。仁もそれを体験し、自分の存在を塗り潰されようとしている身なので、その恐怖を良く知っている。そして、それが簡単に克服できないことも嫌というほどわかっていた。


「……信じられないな。そう簡単に開き直られるなら、初めから苦しんだりしない」

「焔君は、自分が思念統合体にされないか不安なんですね? 芝崎家にはそういう動きがあるようですし」

「……お前、どうして……?」


正直、彼女のようなぼんやりした少女が芝崎家の暗部を知っているとは思ってもみなかった。ただの小娘に見えても、美夜は紛うことなく組織の一員であった。


「大丈夫ですよ。保護下にある者を自分達の都合で思念統合体化させるなんて許されません。焔君、貴方は私が守ります。私の目の前で、もう誰も犠牲にさせたりしません」

「……お前みたいな奴から守ると言われると、複雑な気分になる……」


自分の胸元にも届かぬような小娘に、そんなことを言われるとは露にも思わなかった。
しかし、美夜の笑みはとても温かくて、信じてみたくなるような不思議な魅力があった。彼女には人の心を癒す天性の素質がある。ただ、笑顔でいるだけで人を幸せにする、そんな魅力があるのだ。

今まで誰も信じられず、孤独な人生を歩んできた仁は、この時初めて人を信じてみたいと思った。


「あっ、酷いです! こう見えても本気を出せば、マイちゃんや焔君より強いんですよ」

「……そうらしいが、未だに信じられないな」

「見た目で判断しちゃ駄目ですよ。……私は、化け物なんですから」


そう言って笑う美夜の笑顔には、物言えぬ寂しさがあった。しかし、彼女は自分の存在に悲観しているようには見えなかった。残酷な真実を見据え、しっかりと受け入れていた。

強い娘だ、と思った。

その時はまだ、そうとしか思わなかった。ただ強くて優しくて、初めて信じようと思える人で心を癒す希望をくれた。いつか芝崎家の呪縛から解放してくれるのではないか、と期待すらしてしまった。

「あっ、焔君。仁君って呼んでもいいですか? ほら、学校だと紛らわしいじゃないですか? 穂村君と同音ですし」

「…………」

仁が無言で頷くと、美夜はまるで花が綻ぶような可憐な笑みを浮かべた。
彼女への期待。それがいつしかどうでもよくなるくらいに、彼女に惹かれるようになるのだが、それはまだもう少し先のこと。


「それにしても、字が違うと言っても名前が一音違いなんて凄いですよね?
 そういえば、言霊って知ってますか? 言葉に力があるって考えは、東洋にも西洋にもあるんですよ。もしかしたら、二人は強い運命で結ばれているのかもしれないですね?」


今はただ、彼女の笑顔が眩しかった。そして、その笑みを見ていると、何故か嬉しいと思うだけ。





閑話休題、七章「BLUE & BLUE」へ……
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コメント

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No title
コメント水聖 | URL | 2010-07-24-Sat 18:16 [編集]
思念統合体・・・む、難しい。え、美夜ちゃんは生まれつきなの?
すごく自我がはっきりしているようですが。
むしろ思念集合体だからこそはっきりしてるのか。
慎さんと仁さんの苗字の音が同じなのは、そういう理由だったんですね。
自分の好きな子にファーストネームで呼ばれるとどきどきしますよね。美夜ちゃんも罪な女だなあ・・・。
しかし、BLのレディたちって激強ですねwww
Re: No title
コメント遠野秀一 | URL | 2010-07-25-Sun 00:05 [編集]
水聖さん、コメントありがとうございます。

BLレディ達は激強ばかりですw
次の章でも慎がそうぼやきますwww

美夜の話はまた後で。
詳細は出ないですが、ざっくりとは説明ありです。
BFはあくまでマイラの物語なので、それほど詳しくは出ないです。

あと、このチビッコエースは罪な天然娘です。
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