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無色の翼、鳥は何処に向かうのか?
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明日の紫陽花は何色に咲くのだろうか
2010-06-21-Mon  CATEGORY: 詩 & 短編小説
未承認薬の話をもう少し続けてもいいんですが、
前回記事はここをクリック
正直あまり詳しくありません。

なので、もっと詳しく知りたい方は、↓へどうぞ。

国内未承認薬

で、今回は短編小説です。

こんな医者がいたら最悪って話……ではなく、
……う~ん、何だろう?

ポジと取るか、ネガと取るかは読み手次第って感じです。



明日の紫陽花は何色に咲くのだろうか

「君の命を私に貰えないだろうか?」
「……余命短い女の命を貰って、貴方は何をする気?」


土には雨があるように……。
渇き果てた大地は何の実りも生み出さない。
天から降り注ぐ雨によって、大地は無数の命を紡ぐことが出来る。

雨よ、もっと降れ。
土よ、もっと潤え。

雨があるから、土は生かされる。
貴方がいるから、私は生かされている。
だから、どうか側にいてください。

恵みの雨によって土が潤い、やがて数多の花を育むだろう。


「君の身体を使って、君の病気の研究をしたい。もはや君を救う術はないが、君の身体を研究することによって、これから君と同じ病気の者を救えるかもしれない。だから、私の実験動物になってくれ」

「……貴方、今まで何人の人間に殺されそうになった……?」

「さぁな? 数えたことはない。おそらく三桁には至っていないと思うが、実はもう超えているかもしれない」

「面白い人ね……。いいわよ。くれてあげるわ、私の命……」


花には光があるように……。
暗闇に呑まれた草花は命枯れるのを待つだけ。
太陽の光を浴びなければ、花は高らかに咲き誇れないだろう。

光よ、もっと輝け。
花よ、もっと咲け。

光があるから、花は生かされている。
貴方がいるから、私は生かされている。
だから、どうか側にいてください。

温かな光が花を咲かせ、やがて甘美な蜜を生むだろう。


「すっかり化け物のようだな?」
「……うるさいわね。貴方の実験のせいでしょう?」

「だが、君の犠牲のおかげでデータは集まった。これまで謎の多かった君の病気のメカニズムを随分と解析できた。だが、残念ながら治療法の確立までには至っていない」

「ヤブ医者め……」

「ふむ、その言葉は甘んじて受けとめよう。私は君に対する延命措置を取らず、病気の解析にのみ尽力した。結果として、君の短い寿命を二ヶ月も減らした」

「地獄へ落ちろ……」
「……元よりそのつもりだ。先へ逝って待っていろ」


虫には蜜があるように……。
花の咲かない不毛な場所では全ての命が飢える。
蜜の恩恵を賜った虫は命を育み、新たな命の連鎖となるだろう。

蜜よ、もっと満ちよ。
虫よ、もっと栄えよ。

蜜があるから、虫は生かされている。
貴方がいるから、私は生かされている。
だから、どうか側にいてください。

甘美な蜜が虫を生かし、やがて多くの命の糧になるだろう。


「もはや実験動物としての君は用済みだ」
「そう……。研究はどれくらい進んだ……」

「治療法の研究はある程度目途がついた。今はまだ動物実験の段階だが、来年には治験を行えるだろう。その結果次第だが、上手くいけば君と同じ病気の者を救える可能性が出てきた」

「……そう。私の命も無駄にはならなかったみたいね……」
「あぁ、そうだ。君が死ぬ前に報告できてよかったよ」


鳥には風があるように……。
世界を駆ける風がなければ、鳥は飛び方を知らなかった。
風を受けた翼を羽ばたかせた鳥は、どこまでも世界を飛んでいく。

風よ、もっと吹け。
鳥よ、もっと羽ばたけ。

風があるから、鳥は生かされている。
貴方がいるから、私は生かされている。
だから、どうか側にいてください。

大いなる風が鳥を飛ばし、やがて全ての世界に命を届けるだろう。


「……それで、私はあと何日……?」

「それは君の生命力次第だ。……しかし、おそらく一週間は保たないだろう……。だから、私が医者として君に出来ることはもう無いに等しいな……」

「じゃあ、私からすれば、貴方も医者として用済みね」
「そうだ……」

「もう私達は研究者と実験動物でもなければ、医者と患者でもない。だったら、今の私達は何……?」

「……決まっている。ただの男と女だ……」


空には海があるように……。
海の蒼さを知らなければ、空は蒼く澄み渡れない。
母なる海に抱かれて、父なる空は全ての命を見守るだろう。

海よ、もっと優しくなれ。
空よ、もっと大きくなれ。

海があるから、空は生かされている。
貴方がいるから、私は生かされている。
だから、どうか側にいてください。

世界を包み込む海と空に育まれ、肥沃な土となるだろう。





そして、私は土に還る……。





The END




あとがき

別に紫陽花、関係ないんじゃ……?
って思わなくもないです。
でも、個人的にしっくりきて、他のタイトルが浮かびませんでした。

個人的にこんな医者が目の前に現れたら、マジ最悪ですね。
患者には医者を選ぶ権利というモノがあるので、速攻でチェンジで。

↑の話、なんか微妙に聞き覚えがあるけど、
思い出せないって人は……、↓をクリック

ZERO×ZERO
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コメント

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No title
コメント | URL | 2010-06-21-Mon 22:07 [編集]
こんばんわw夢です。

どっちにも、とれるお話ですね!
私は『どっちも』を考えながら読んでいました。

見る視点を変えると
また、読んだ感想も違う気がします。

上手くは言えませんががが;

では。失礼しますっ
Re: No title
コメント遠野秀一 | URL | 2010-06-21-Mon 22:33 [編集]
夢さん、コメントありがとうございます。

どっちにも取れますね。
「このクソ医者め~」と罵ってもいいですし、
「難病の治療見つけられてよかったー」と褒めてもいいですし。
賛否両論、分かれそうです。

まぁ、自分の担当医にしたくないのは確かです。
No title
コメント水聖 | URL | 2010-06-22-Tue 00:16 [編集]
こんばんは遠野さん

「……決まっている。ただの男と女だ……」
・・・って
やばい、なんか感動してしまった。

ある意味究極の愛かもとか思ってしまった私は変でしょうか。




Re: No title
コメント遠野秀一 | URL | 2010-06-22-Tue 00:31 [編集]
水聖さん、コメントありがとうございます。

> 「……決まっている。ただの男と女だ……」
個人的にも気に入っている台詞です。

あの後ももう少し会話を続けさせようと考えたんですが、
このセリフの後には、もう言葉は必要ないなーって思って、
ここで会話は終わらせてしまいました。

あぁ~、でも、恥ずかしいです(>_<)
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