作家志望の不定期ブログです。
無色の翼、鳥は何処に向かうのか?
スポンサーサイト
-----------  CATEGORY: スポンサー広告
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
大きな樹の下で 第七話「はじめてのライバル」
2010-06-10-Thu  CATEGORY: 小説:大きな樹の下で
orz

……すみません。
本編の更新、一ヶ月以上放置してたみたいです。
いつもウダウダと長く語っていますが、
今回は短めで。

・第一話「はじまりのはじまり」
・第二話「大きな樹」
・第三話「ワンコの気持ち」
・第四話「タマヒメ」
・第五話「一年八組の愉快な仲間達」
・第六話「君の旋律を聞きたい」



大きな樹の下で
第七話「はじめてのライバル」


今、いけないフラグが立つ音が聞こえた気がした。
絶体絶命の危機が近付いている感じだ。女の勘がキュピーンッと最大級の危険を訴えていた。

……う~ん、何だろう?
何だか意味もなく胸騒ぎが……。

自慢じゃないけど、私の勘って外れたことがない。言っておくが、野性の勘でも、ワンコの勘でもない。女の勘だ。文句を言う奴は問答無用でぶっ飛ばす。

にしても、一体なんだろう?
これまでにないくらい嫌な予感がする。

……大樹に女が近付いたとか?

まぁ、それはないか~♪
大樹って自分から女子に声を掛けるタイプでもないし。
……でも、優しくて人当たりもいいし、実は結構もてるからな。本人が無自覚ってのがまたムカつくんだけど、あいつは天然だし。
「よし、今日のホームルームは終了だ!! 気ぃつけて帰れよ!!」

我等が一年八組のボス……ではなく担任教師の一喝で本日は解散となった。どうでもいいが、このライオンは声がでかい。耳が痛くなる。

私はさっさと帰り支度をして席を立った。
何だか無性に胸騒ぎがするから、早く大樹に会いたかった。


「そんなに急いでどうしたの、小豆?」
「あっ、姐さん」

「まだそのノリ続いてたの? 胡桃でいいわよ」


姐さんもとい胡桃は気さくな笑顔で言った。
確かにいつまでも姐さん呼びってのはアホらしい。あれはその場のノリだし。

「そう? じゃあ、胡桃、何か用?」

「用って訳じゃないけど、せっかくだから一緒に帰らないって誘おうと思ったのよ。急いでいるなら遠慮するけど」

「あっ、そうなんだ……」

せっかく友達になれた胡桃の誘いを断るのは少々憚られる。しかし、早く大樹に会いたいという気持ちもあり、私の言葉は自然と歯切れが悪くなってしまった。

「まぁ、無理にとは言わないわ。一緒に帰るついでに従妹を紹介しようと思っていたから、ちょっと時間が掛かるかもしれないし」

「あ、や……、別に無理じゃないぞ。別のクラスになった幼馴染と早く合流したかったから急いでただけだし……」

「そうだな~。愛しの大樹に早く会いた……ぐふァおおッ!!」

さも当たり前のように会話に参加をするな、朝人。アホはアホらしく保健室にでも引きこもっていろ。あのネズミ小僧は今も保健室で眠っているぞ。


「愛しのぉ~?」


今、胡桃の目が獲物を見つけたネコ科の獣のように光った。
絶対に知られてはいけない人物に弱みを握られてしまった気がするぞ……。

「アホの言うことを本気にするな! ただの幼馴染だよ!」
「えぇ、わかっているわ」

何もかもね、と言いたそうな邪悪な笑みを浮かべる胡桃。やっぱり、私はネコに狙われたネズミ状態だ。

「と、とにかく一緒に帰るなら行くぞ!」
「はいはい♪」

「……お、俺は放置か……? マイ幼馴染……」

放置に決まっているだろう、アホ。朝人の担当はあの子なんだから、私が優しくしてやる義理はない。

うずくまった朝人を放置して、私と胡桃は一緒に教室を出た。
そして、そこで衝撃映像を目撃した。


「なっ……!!?」

「んっ、小豆。それと……」
「胡桃ちゃん」

「あれっ、タマ? ……ちょっと目を離した間に大胆になったわね」


た、大樹が知らない女が手を繋いでやがるッ!!?
私がいなかった間に何してやがるんだ、この野郎はッ!!?


「……んっ? 大胆って、何?」
「いや、随分と仲よさそうだなって……」

「「あっ……」」


まるで今になって初めて手を繋いでいたことに気付いたような声を上げて、頬を染めて見つめ合う二人。

何、この付き合い始めの初々しいバカップルみたいな反応は!?


「っていうか、誰だよ、てめぇはッ!? あァ!?」


私は大樹の隣にいるクソアマを指差し、思い切り睨み付けてやった。
何となく仔猫っぽい感じのクソアマはビビって、大樹の背中に隠れやがった。っていうか、大樹にくっつくな、この野郎!!


「コラ、小豆! 初対面の人になんて口のきき方をしているんだ!」
「痛ッ!? ちょ、頭掴むな!! ふしゃあああッ!!」

「威嚇しても駄目だぞ! 身内以外に乱暴はするなって何度も言っているだろう! 人様に迷惑をかけるようなことは絶対に駄目だ!」


くっそぉぉぉ~!!
この保護者気取りのウドの大木め!!

無駄にタッパがあるせいか大樹のパワーは半端ではない。素手で林檎ジュースを作れるくらいだし。大樹が本気で怒っていたら、私では絶対に勝てない。それはわかっているが、わかっているからムカつく。

大体、こんなどこの馬の骨とも知れない女を庇っているのが不愉快極まりなかった。


「ごめんね、姫宮さん。こいつ、ちょっと口が悪くて」
「ぐるるるぅぅぅ……!!」

「あっ、ううん。ちょっと驚いただけだから気にしないで。ほら、妹さんも痛そうだし、話してあげ……」

「妹じゃねぇ!! 幼馴染だ!!」


私と大樹のどこか兄妹に見えるというのだろう。全然似てないではないか。全くムカつく奴だ。


「そうなの?」
「そうだよ! 見りゃわかるだろうが! がるるる……!!」

「……小豆、いい加減しないと本気で怒るよ?」
「うっ……」


大樹の声のトーンが明らかに低くなった。
これは間違いなく最後通告の時の声だ。この木偶の坊はやると言った時は一切容赦なしだ。ここで逆らったら、説教三時間コースの後、一週間はトマトフルコース地獄に落とされる。お小遣いも当然カットされる。

くそぉ~!! 人の足元見やがって……。
っていうか、女の前だからっていい格好しようとしてるのか! あぁ~、腹が立つな!!


「よし、大人しくなったな」
「ふん……」

「姫宮さん、こいつは柴崎小豆。幼馴染だけど、感覚的には妹だね。最初に会った時にもうちょっと説明できれば良かったんだけど、あの時は、ほら……」

「あっ、うん……。ちょっとゴタゴタしてたもんね」

……妹か。
まぁ、大樹が私をどんな風に見ているのかはわかっていたつもりだけど、目の前で言われると何か凹むな……。

「で、小豆。あちらは……」
「姫宮珠樹です。これからよろしくお願いします、柴崎さん」

「……ふん」
「コラ、小豆。挨拶は?」

「……ふん」
「全く、仕方ない奴だな……。ごめんね、姫宮さん」

何だよ、クソアマの方ばっかり気に掛けて……。
あぁ~、ムカつく!! 本当に何なんだよ、もう……。
私よりその女の方がいいのかよ……。


「で、タマ。そっちの彼の紹介はしてくれないの?」


今まで黙っていた胡桃が口を挟んだ。彼女はニヤニヤと楽しそうな笑顔を浮かべていて、どうにも私は馬鹿にされている気分になった。

「あっ、うん。こちら、宇藤大樹君。今日、友達になってくれた人なの。宇藤君、あちらは……って紹介は必要ないよね?」

「うん、大丈夫。えっと、姫宮……胡桃さん、ですよね?」

胡桃は新入生代表として、ネコの着ぐるみのまま壇上に上がったから覚えていて当然だろう。

「そうよ。あと、呼ぶなら名前の方でお願い。あっ、タマの方も名前で呼んじゃっていいわよ」

あっ、胡桃! 余計なことを吹き込むな!

「……いいの、姫宮さん?」
「うん。名前で呼んでくれた方が嬉しいよ」

「じゃあ、僕のことも名前で呼んでほしいな、……た、珠樹さん」
「う、うん……。た、大樹君……」


名前を呼び合うだけで顔を真っ赤にする二人。
何を照れているんだよ、こいつ等は……?

ただ、名前を呼び合っただけだぞ?
そんな当たり前のことで嬉しそうにして、気持ちが通じ合ったみたいに微笑みあって、馬鹿じゃねぇの……?

私なんかずっと大樹と名前で呼び合っているぞ。
生まれた時から、言葉を知った時から、ずっとずっと大樹と名前を呼び合ってきた。

名前を呼び合うだけで気持ちが通じ合うなら、私はあんなクソアマなんか数億倍、気持ちが通じ合っているはずだ。

……なのに、今はひどく取り残された気分だった。


「小豆、タマは強敵よ」
「胡桃……」

着ぐるみ娘が私の耳元でそっと呟いた。

「あいつって……、珠樹ってどんな奴なの?」

「……おっとり天然系? 普段からぽや~っとしている感じで、誰に対しても優しくて、あまりお喋りな方じゃないけど、一緒にいると落ち着くタイプ。……あっちの彼も同じタイプじゃない?」

「うん……。そういえば、何となく雰囲気似てるかも……」

胡桃に言われて初めて気付いた。珠樹の持つ独特の雰囲気が、大樹の優しい雰囲気に似ていることを。

もし、もっと違う出会い方をしたら、私は彼女のことを好きになれたかもしれない。大樹と同じ雰囲気を持つ彼女を友達として歓迎できたかもしれない。

だけど、もう無理だ……。

だって、何となく感じるから……。

珠樹の気持ちが大樹に向いていることを……。

胡桃が言うような天然娘なら、きっと珠樹は自分の気持ちにすら気付いていないかもしれない。だけど、私にはわかる。女の勘が最大級の危機を教えてくれている。

今、珠樹の中にある感情は間違いなく恋心だ。今はまだ豆粒みたいな種火みたいなモノだろうが、いずれきっと自分の世界を全て焼き尽くすような業火になって燃え上がるだろう。

珠樹は近い将来、私の最大のライバルになるだろう。


「まぁ、頑張りなさいな。私はどちらの味方もしないから」
「そうなの? てっきりあっちの味方をすると思ったんだけど?」

「……私は珠樹のこと、大好きで大嫌いだから」

「えっ? どういうこと?」


大好きで……、大嫌い……?
胡桃の発言がどういう意味なのかは全く理解できなかった。やはり胡桃は私の理解の範疇を超えている。

「タマは私にとってもライバルだからね」
「ライバル……?」

「そうよ。……まぁ、でも、向こうは無自覚だけどね」

そう言って微笑む胡桃は何となく寂しそうに見えた。彼女の事情を知る由はなかったが、天然に振り回される苦労だけはよく理解できる。


「お~い、小豆、内緒話は終わった?」
「胡桃ちゃん、柴崎さんと仲良しで羨ましいなぁ……」


天然コンビが少し離れたところで私達を呼んでいた。
あいつ等は私達の悩みなど全く気付いていないのだろう。能天気に笑っている顔を見るとムカつくが、あの笑顔にどうしようもなく惹かれているのも確かだった。

全くムカつくったらないなぁ……。
私は胡桃と顔を見合わせ、苦笑しながら頷き合った。そして、二人の元へと歩み寄った。

私は大樹と珠樹の間に割って入り、この場所は譲ってやらないからな、と軽く珠樹を睨んでやった。

ライバル上等!!
負けるつもりはないからな、姫宮珠樹!!




To be continued...



あとがき

豆柴、最強の好敵手と遭遇です。
出鼻にいきなりデンプシーロールで食らいましたねw
さすがはタマヒメ。パネェです。

どうにも小豆は苛めたくなりますw
これからもドンドン不利な展開になっていくかもですwww

……苛めっこ?
違いますよ。愛があれば、全て許されるんですwww
関連記事
スポンサーサイト
トラックバック0 コメント2
コメント

管理者にだけ表示を許可する
 
No title
コメント水聖 | URL | 2010-06-13-Sun 17:44 [編集]
豆柴ちゃん、かわいいぞ!
大樹くんはキミの可愛さに気付いてないだけだ、がんばれ!
うーん、でもタマヒメさんも好きなんで複雑だけど。
でも今回一番気になっているのは胡桃ちゃんです。
あこがれと嫉妬がないまぜ・・・みたいな。
そのあたりの事情も知りたいところです。
Re: No title
コメント遠野秀一 | URL | 2010-06-13-Sun 22:43 [編集]
水聖さん、コメントありがとうございます。

PC破損で一回消えてしまったのが、この七話だったんですよね。

胡桃は何だか意味深なセリフ言ってますね。
でも、珠樹と胡桃の関係が描かれるのは大分先になりそうですw
最初に断りがあるように、「大きな樹の下で」は
進展が非常に遅いんですwww

当分は大樹と小豆がメインになっていくと思います。
トラックバック
TB*URL
<< 2017/07 >>
S M T W T F S
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -


Copyright © 2017 無色の翼、鳥は何処に向かうのか?. all rights reserved.
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。