作家志望の不定期ブログです。
無色の翼、鳥は何処に向かうのか?
スポンサーサイト
-----------  CATEGORY: スポンサー広告
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
大きな樹の下で 第二話「大きな樹」
2010-04-01-Thu  CATEGORY: 小説:大きな樹の下で
・第一話「はじまりのはじまり」



大きな樹の下で
第二話「大きな樹」


人からはよく『ウドの大木』と呼ばれていた。
あだ名の由来は、宇藤大樹という名前と、百九十を超えた身長だ。

小学校の頃から身長は高かったが、中学になってからは本当に無駄なくらいに身長が伸びた。背が低かった方がいいとは言わないが、ドアよりも大きくなりたかった訳ではなかった。ドアに頭をぶつけるのは痛い。

身長は元バレーボール選手の父譲り。頑丈な身体には感謝することが多いのだが、この身長のせいで被害を受けることも多いので、感謝と恨みのプラマイはゼロだった。

顔立ちや性格は、母親似と言われることが多かった。というより、主夫っぽい言われることが多かった。実際、ここ数年は母親より家事をしている時間は長いと思う。
顔立ちの方は、自分ではノーコメント。特に女子から人気がある訳ではないので、そこから察してほしい。温和で人畜無害そうな草食系男子……らしい。


「あぁ~、痛ぇ! クソ、ふざけやがって!」



桜並木の真ん中で男らしく痛がっているのは僕の幼馴染、柴崎小豆。
勝手に怒って走り出した挙句、顔面から転倒したのだ。しかも、同じ学校に通う生徒達がたくさんいる通学路で。噂になることは必至だろう。

小豆はよく『豆柴』と言われていた。
まぁ、そう呼ぶとローキックが飛んでくるから、正面から言う人はいない。あだ名の由来は、名前と小型犬みたいなちっさい身長だ。

身長とスリーサイズは残念な感じで、今でも小学生に間違えることが多かった。一緒に歩いている時に知らないお婆さんから「親子ですか?」と言われて憤慨したことがあった。僕が老けているというのを差し引いても、同級生の子供扱いは酷いだろう。

しかし実際、小豆は僕の子供みたいなものだ。僕達の両親は共に家を空けることが多いので、小豆の面倒は必然的に僕が見ることが多かった。今現在では小豆の両親より僕が面倒を見ている時間の方が長いくらいだ。

食事の準備や部屋の掃除は当然のことながら、下着の手洗いまで僕がやっている。もう高校生になったのだから、下着の洗濯は自分でやってほしかった。


「大丈夫?」
「うっせぇ! 全部てめぇのせいだ! 賠償金、払え!」


どこで育て方を間違えたのだろう。
性格は見てのとおりだ。男勝りというより安いチンピラだ。
優しくおしとやかになってほしかったとまでは言わないが、もう少し女の子らしさのある性格になってほしかった。

何を怒っているのか知らないが、小豆は理不尽なことを言いながら、僕に詰め寄ってきた。彼女の言うことなど、いちいち真に受けていたら日が暮れしまうので、当然無視。

それより、顔面から転んだので外傷がないかを確認する方が重要だった。僕は傷があるかを見るため、小豆の顔を掴んで、ぐっと引き寄せた。

「ちょ、お前……!?」

何故か微妙に顔が赤いが、おそらく地面に打ち付けたのが原因だろう。

「……鼻が少し擦りむいているかな? 絆創膏、貼っとこうか?」
「い、いらねぇよ!」

小豆は僕の手を振り払うと、その場から逃げ出してしまった。
無理にでも絆創膏を貼ろうとしたのに気付いたのだろうか。確かに入学初日から鼻に絆創膏を付けて登場するのは嫌だろう。

僕は鞄から絆創膏を取り出すと、いつでも小豆の顔に貼れるようにポケットに仕込んでおいた。そして、置いていかれないように早足で小豆の後を追った。

小豆は僕が追ってくるのに気付き、一瞬嫌そうな顔をしたが、すぐに諦め顔になって歩を緩めた。その隙に僕は追い付き、隣に並んだ。

「……ったく、ついてねぇ」
「自業自得の間違いだよ」

「やかましいわ! そもそも、全部お前のせいじゃねぇか!」

「……今年も僕達、一緒のクラスになれるかな?」
「って、お前! 私の話を無視すんな!」

理不尽なクレームに話を合わせる義理はない。勝手に走り出したのも、転んだのも決して僕のせいではない。

「今年も一緒のクラスになれるといいね?」

「……ちっ、これまでずっと一緒だったんだ。今更、変わる訳ないだろ。いい加減ウンザリだぜ。たまには別々にしてくれねぇかな?」
「そう? 僕は小豆と一緒のクラスじゃないと嫌だな」

「なっ……!? へ、変なこと言うな! 私は別に……」

「小豆が起こす問題を迅速に片付けるためには、やっぱり同じクラスじゃないと……。今年は平穏無事でいられますように、って無理に決まっているか」

「私がいつもいつも問題起こしている風に言うな!!」

鋭いローキックが飛んできたが、寸前のところで回避した。そうそう何度も蹴られていては身体が保たない。

「……自覚ないの?」

「残念なモノを見るような顔で言うな! 大体、てめぇは私の何なんだ!? 保護者か、この野郎!?」

「……君は一度、これまでの自分の過去を見直してみるべきだと思うよ?」

親の心、子知らず。
この年で親の気持ちがわかるなんて……。

「だああああああ!? うぜぇ!! もうお前なんかと一緒にいられるか!! 私は先に行く!! 付いてくるなよ!!」

小豆はまた勝手に怒り出し、大股で先に行ってしまった。
付いてくるな、と言われたので少しだけ待ってから僕も歩き出した。高校までは迷うような道でもないので、心配するようなことはないだろう。しかし、一応小豆の後姿が見える距離で付いていった。

歩くこと五分。
小豆が先に高校に辿り着いた。新入生達の流れに沿っていけばいいだけなので心配するようなことはないだろう。しかし、姿が見えないのは不安なので、小豆に追い付くため早足で校舎を目指した。

校門を潜ると、真新しい制服に身を纏った新入生が巨大な群れを作っていた。この高校はマンモス校なので、新入生の数も半端ではなかった。これだけ人が多いと、チビッコの小豆を探すのは一苦労だった。
人だかりの中から小豆を探すのは難しそうだったので、当初の目的地、クラス割の案内板に向かった。


「小豆はどこかな? 迷子になってなければいいけど?」


……う~ん、僕って小豆に甘いかな?

まぁ、ぶっちゃけ、干し柿のハチミツ漬けより甘いと言われている。
さすがに、そこまで甘いつもりはないが、多少の自覚はあった。僕は小豆と違って、自分の過去を見直すことが出来るタイプなので。

馬鹿な子ほど可愛い、みたいな感じだろうか。

それと、よく勘違いされるのだが、僕と小豆は付き合っている訳ではない。そもそも、小豆は僕にとって妹みたいなものだ。いや、娘みたいなものかな?

とにかく小豆は僕にとって家族なのだ。少なくても恋愛対象ではない。

まぁ、思春期に入ったばかりの頃は少しだけ意識をしたが、今はもうそんな気は全然ない。
毎日、部屋の掃除から下着の洗濯までしていると、いろいろと吹っ切れてくる物だ。ブラジャーなるものが洗濯物に追加された当初は大分困惑したが、今では何も感じなくなった。

だからといって、枯れた訳ではないから。そこは誤解のないように。ベッドの下のワンダーランドには夢と希望がたくさん詰まっている。
男の浪漫雑誌のジャンルは、年上系が多め。でも、熟女までは行ってないから。実の妹がいると、妹物は敬遠するみたい感覚。

小豆のことは家族として大好きだ。

性格は男勝りでワガママ放題だが、あれで結構可愛いところはある。絶望的に不器用なくせに毎年イベント事では手作りの物を一生懸命作ろうとする。とっても可愛いじゃないか。グッとくるだろう?
しかし、正直食べ物系は気持ちだけで……。バレンタインとか、胃薬を大量購入しないといけないし……。いや、もちろん気持ちは嬉しいのだけどね。


小豆のことは、これからもずっと見守っていきたいと思っている。

僕にとって柴崎小豆はこの世で一番大事な存在だ。

家族だからこそ無償の愛を捧げられる。


他人から見れば、僕達の関係はおかしく見えるだろう。実際、よく友達から「お前はおかしい」と毎日のように言われている。だけど、やっぱり自分の考えは変えられそうになかった。

「あっ、いた」

予想どおり、小豆はクラス割の案内板の最前列にいた。小さいから最前列でないと案内板が見えないのだ。

「小豆、クラス割、どうだった?」
「…………」

「どうしたの? この世の終わりみたいな顔をして」

小豆はクラス割の案内板を見つめたまま硬直していた。顔色は真っ青になっていて心配だった。

「一体何があったの?」
「こ、これ……」

指差された一年八組の案内板に視線を移した。
このクラスに僕はいないようだ。苗字が「う」で始まるので、こういうクラス割で自分を探すのは楽だった。
しかし、これでは小豆がショックを受けている理由がわからなかった。もう少し一年八組の案内板を見ていると、小豆の名前を発見してしまった。

僕は一年八組にいないが、小豆は一年八組。
つまり、どうやら僕達は初めて別々のクラスになったようだ。


「初めて別々のクラスになったね?」


少し予想外だったが、特に驚くようなことでもない。
確率的に考えて十年も一緒のクラスになる方が難しいだろう。一緒になるのが当たり前だと思っていたので、意表を突かれた形になった。


「何、のんきに言ってるんだ!! 別々のクラスになっちゃったんだぞ!! もっと、こう……、いろいろリアクションがあるだろう!?」

「まぁ、こういうこともあるよ」

「何だよ!? 一緒のクラスになりたいって言ってたくせに、そのリアクションの薄さは!?」


僕のリアクションの薄さより、小豆のリアクションの大きさの方がおかしいと思う。しかし、それを指摘すると絶対にローキックが飛んできそうだったので、突っ込みの言葉は呑み込んだ。
代わりに小豆を宥めるように、穏やか口調でこう言った。


「いい加減ウンザリしてたんでしょ? だったら、別々のクラスで喜ぶべきじゃ……」

「こォの、馬鹿ァァァァァァッ!!!」


小豆の怒りの咆哮と共に、これまでで最高の切れ味のあるローキックが僕の太腿に直撃した。
あまりの破壊力に僕は悲鳴すら上げられず、その場にうずくまった。壮絶な痛みによって僕の頭は真っ白になり、小豆がその場から走り去っていくのさえ気付かなかった。

小豆がいなくなったのに気付いたのは、それから一分後。少しだけ痛みが引いて思考回路が正常に機能するようになってからだった。




To be continued...



あとがき

主人公達の名前登場です。
ウドと豆柴。ぶっちゃけ、思いつきそのまま。
でも、割と上手くいきそうな気がします。

ウドは天然。豆柴はツンデレ。
苦労するのは、豆柴の方でしょうね。
いろいろと空回りしそうな子ですからw

次回は、豆柴視点になる予定です。
関連記事
スポンサーサイト
トラックバック0 コメント0
コメント

管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
TB*URL
<< 2017/08 >>
S M T W T F S
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -


Copyright © 2017 無色の翼、鳥は何処に向かうのか?. all rights reserved.
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。